昨日の今日

KINOUNOKYOU

お笑いとテレビと映画と本と音楽とサッカーと…

ホイッスルが鳴ったら。「2023.12」

f:id:nayo422:20240211204502j:imageこれから終わるはずなのに、1月になった瞬間にもう始まっていると考えるとうんざりしている。今年は近年のなかでも最も早く時間が過ぎ去ってしまった1年間だった。「20歳を過ぎたあたりから、死を感じることができるようになったよね。早すぎて、怖い。部活が始まる前のスパイクの紐を結びながら、練習だり〜と話している時間が永遠に続けば僕はそれでいいんだ。なのに…」みたいな会話を永遠にしている31日だった。そんな話をしながら、友だちと初詣のおみくじを引きに行った。そう、2023年は人間は死ぬということを痛感させられた1年であったような気がする。はじめにそれを感じたのは、坂本龍一の死だった。新潮で連載されていた『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』を読んでいたのもあるけれど、この連載はずっと続くのだと思っていた。余命を告げられるという連載初回だったにもかかわらず、終わると思っていなかったのだ。でも、連載は終わった。人間は死ぬのか、と当たり前のことを思い出すことになった。2023年が終わり、2024年になる。あっという間に、2050年とかになってしまうのだろうか。ぼくはあと何回、満月を見るだろう。

12月の個人的重大トピックとしては、ニッポン放送Podcast宮司愛海のすみません、今まで黙ってたんですけど…』だ。

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11月から配信されていたようだけれど、私は12月になるまで気がつかなかった。めちゃ良いPodcastなのだ。自意識が溢れているのだけれど、鬱屈としたり、変な憎しみみたいなもの(宇垣美里的な)があったりしないので、爽やかな自意識として収まっているのがいい。そして、やっぱりお喋りクソ野郎なのだ。例えば、#5の7:45のところ。

「フジテレビの採用試験で、昨日何食べた?って質問があって。私はそのとき牛丼って言ったんですよ。牛丼屋さん1人で行きづらいってひと多いじゃないですか。ひとりで食べるなら持ち帰るとか。大学時代はそんなにお金もなかったし、そのときは牛丼!って答えたんですよ。どこの牛丼屋さん?って更問いみたいな追加の質問がきて。松屋です!って。なんでかと言うと、無料で味噌汁が付くから。だから学生の私は松屋派だったんです。今はどこも好きですよ。というような感じで答えたくらい、ひとりが苦にならない」

というような感じでつらつら話すのだけど、「今はどこも好きですよ」と、間を埋めるようにして挿入してくるここがラジオスターだな!と思いました。喋りながら、すかさずフォローを入れてくる感じが、オールナイトニッポン時代の朝井リョウみたいなのだ。あとは#6の31:55付近。

「私はもう大人数の飲み会で、自分いなくていいなって思ったら、帰っちゃうもん」

とかもよかった。社会に馴染む王道の人かと思っていたのだけど、会社でも周囲の人と距離を取っている感じが意外だった。お気に入りPodcastになりそうです。

そう、あとはやっぱり『M-1』決勝ですね。昨年の敗者復活戦における漫才で、ほとんど実質的な『M-1』優勝を成し遂げていたわけなので、令和ロマンの優勝それ自体に特に何かを思うことはないのだけど、くるまのメガネやスーツの変更が優勝の決め手なのでは?と思ったりする。“見た目”というのは、今日において指摘するのはあんまり好ましくないかもしれないけれど、私はルックというものの重要性はなかなか捨象できないし、できる日は来ないとも思う。たとえば、浜辺美波。2023年の『シン・仮面ライダー』と『ゴジラ-1.0』は、前者は擁護の余地がないとして、後者もよもや駄作になりかねない作品だと思うのだけど、どちらも浜辺美波のいくつかのショットによってオールオッケーになってしまうほどの影響を与えていたように思う。そう、映画は総合的なものではなく、たったひとつの煌めきがあればいいのだ。浜辺美波の映画俳優としての凄まじさ的なものを感じた1年でもありました。

映画のこと。ランキングとしては別でエントリーをつくったのでそちらを見てほしい。スピールバーグ、スコセッシ、宮崎駿が表彰台というめちゃくちゃ馬鹿みたいなランキングになってしまったけど、おもしろいのだからしょうがない。実質1位は、マット・ジョンソン『ブラックベリー』かもしれない。U-NEXTにて滑り込み鑑賞したのだけど、例のシーンでThe Strokes『Someday』が鳴った瞬間に、うわー良い映画だ…!となりました。また、キャストのルックがいい。Netflix的な抜群のルックであって、良いツボをおさえている。The Strokesもまた幼馴染によって結成されたバンドであって、『ブラックベリー』のマイクとダグの関係と同じだし、Netflix的な友情の物語でもある。

The Strokes - Someday (Official HD Video) - YouTube

The StrokesNetflixリミテッドシリーズとかやったらいいと思うのだけど。

音楽のこと。クリスマス恒例の羊文学『まほうがつかえる』に行った。

羊文学『まほうがつかえる2023』at LINE CUBE SHIBUYA - 昨日の今日kinounokyou.hatenablog.com

私がここで思い起こしたミサイルは、まさしく今起こっている争いのことに関係するものだ。最初は、ネイションとエスニシティにおけるエスニシティの部分、民族的なテーマを調べていたのだけれど、国家という暴力装置についても考えなければならないなあと思い始め、前者について思考するための本を読んだ。思弁的に語られるなかで、身体にテクストを馴染ませていく。

国家の暴力が国民共同体によって規範化されることは、その暴力が集団的な独善性とファナティシズムにおちいることとつねに隣合わせである。国民共同体の内部では、たしかに国家の暴力は「穏やか」で「道徳的な」ものとなっていく。しかし、その反面、共同体の規範の外にいるものに対しては容赦ないものとなり、それがもたらす惨禍も甚大なものとなる。p203-204

萱野 稔人『国家とは何か』

軍事国家、イデオロギー国家であるイスラエルはその暴力性が顕著である。そして、それはそのほかの国家にも隠されている、もしくは国民の無関心によって駆動されている。東浩紀が平和を享受するということは、それだけで恐ろしく暴力的な行為だと話していたことを思い出す。ダニエル・ソカッチ『イスラエル 人類史上最もやっかいな問題』も読んで、誰も受け入れてくれなかったから自分たちで国家を作るしかないというシオニズムの考え方も腑に落ちる部分はあった。しかし、現状のはあまりに一方的な暴力である。最悪だ。暴力がなくなってほしい。あまりに酷い暴力が続いている。やはり憲法がないというのがかなり重要な点なのではないかと思う。

クリスマスには小山田壮平ツイキャスが久しぶりに開催された。『クリスマスひとり忘年会配信(ツイキャス)』だ。「時間」をテーマに、悲しい時は何度も訪れるけれど、幸福な時も同じようにやってくることを歌ってくれた。何度も過ちを繰り返しているようで苦しいけど、バトンを受け渡しながら困難を乗り越えていけるのだとそう感じることができる配信だった。『投げKISSをあげるよ』の中国語verや『Happy Xmas(War Is Over)』、小山田壮平の声は祈りのようだといつも思う。そして、そんな神聖化は良くないとも思う。

君島大空『no public sounds』リリースツアーにも行った。君島大空の単独公演に来たのは初だったし、もちろん合奏形態も初だった。f:id:nayo422:20240107180941j:imageめちゃ意外だったのは、その客層の幅広さ。なかでも、ご婦人的なひとたちが多かったような印象だった。公演中も、ふぅ〜!というような黄色い声援も結構あって、君島大空ってこんなにアイドル的な存在なのか〜と思いました。また、人生初めてだと言っていたダブルアンコールにも立ち会えて嬉しかった。

サッカーのこと。2023シーズンをもってケヴィンマスカット監督が退任すると発表された。新監督はハリー・キューウェルだという。ポステコグルーから続くオーストラリア路線だ。噂によると「強度」を何より重要視するらしく、アタッキングフットボールを志すマリノスにとっては最適と言えそうだ。そのコンセプトのために、どのような補強が敢行されるのか注目したいところだけど、マリノスにとっては怪我人が戻ってくるのが最大の補強となるだろうからなあ。下手に補強するよりは、現戦力やレンタル修行している若手選手を戻して鍛え上げていく方が良さそうだ。キューウェルさん、楽しみにしてます!

そういう意味では、ユヴェントスは若手主体の良いチームになりつつある。ミレッティ、ガッティ、カンビアーゾ、ユルディズ、イリング…そして、本当ならファジョーリもいたのだ。ユーヴェの未来は明るいぞ…!と思える布陣なのです。みんなこのまま5年後もユヴェントスに残っていてね…とそれだけが心配なのですが。そのためには、ユヴェントスとしてのブランドをいかに誇示していくのかということも重要であるし、レジェンドを招聘するタイミングも見極めないといけない。デル・ピエロとかって、ユルディズたちの年代ではどのくらい同時代的なのだろう。難しいところだ。f:id:nayo422:20240207005920j:image日本のレジェンドの引退試合をテレビで観た。俊輔は監督になりたいと公言しているし、5年以内には監督のキャリアをスタートさせるのだと思う。もしかしたら、ピルロのように、いきなりJ1のトップチームを土壇場で任されてしまうようなこともあるのかもしれないのだけど、そうなったらなかなか難しいな、と。J3とかでやるよりは、マリノスユースの監督から始めるとかもありな気がするけれど。なんとか上手いこといってほしいなと祈っている。

Number_i - GOAT (Official Music Video) - YouTube

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TCM Remembers 2023 - YouTube

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MY FAVORITE MOMENTS 2023

1.ニューヨーク出演番組

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ニューヨーク×クリープハイプ 『ニューヨークリープハイプ』 - 昨日の今日

【年末】ニューヨークの2023年を振り返る。テレビでもYouTubeでもプライベートでも色々ありました! ※M1より前に撮影したものです - YouTube

 

2.NHK 大河ドラマ『どうする家康』

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3.ランニング

Suguru Osako Into The Dark - YouTube

 

4.小出裕介×南波一海『こんプロラジオ』

小出祐介×南波一海 Voicy『こんプロラジオ』配信開始 - 昨日の今日kinounokyou.hatenablog.com

 

5.アニメ『進撃の巨人』完結

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6.THE 1975『At Their Very Best Japan 2023』atぴあアリーナMM

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7.スティーヴン・スピルバーグ『フェイブルマンズ』

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8.LE SSERAFIM『Perfect Night』

LE SSERAFIM (르세라핌) 'Perfect Night' OFFICIAL M/V with OVERWATCH 2 - YouTube

 

9.羊文学『12 hugs (like butterflies)』

 

10.JUNK20周年イベント『おぎやはぎのありがとうびいき(仮)』

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11.Homecomings『New Neighbors』

New Neighbors

New Neighbors

  • IRORI Records
Amazon

 

12.サリー・ルーニー『ノーマル・ピープル』

サリー・ルーニー『ノーマル・ピープル』山崎まどか 訳 - 昨日の今日kinounokyou.hatenablog.com

 

13.サッカー日本代表W杯以来のドイツ代表撃破

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14.宮崎駿君たちはどう生きるか

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15.チャンピオンズリーグ、イタリア勢、躍進

イタリア勢の躍進を見よ!CL準々決勝 ミランvsナポリをレビュー - YouTube

 

16.N93『パンプキンポテトフライの剣』『カラタチの最果てのセンセイ!』

N93 パンプキンポテトフライの剣 | Podcast on Spotifyopen.spotify.com

N93 カラタチの最果てのセンセイ! | Podcast on Spotifyopen.spotify.com

 

17.水曜日のダウンタウン『名探偵 津田』

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18.くるり『感覚は道標』

 

19.若林正恭×山里亮太『だが情熱はある』

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20.IVE『아이브 'Either Way』

IVE 아이브 'Either Way’ MV - YouTube

 

21.ウェス・アンダーソン『アステロイド・シティ』

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22.三笘薫、躍動

三笘薫の美しいドリブルに寄せて - 昨日の今日kinounokyou.hatenablog.com


23.Dominic Fike『Sunburn』

 

24.マット・ジョンソン『ブラックベリー
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25.『Jリーグワールドチャレンジ2023』横浜F・マリノスvsマンチェスター・シティ

『Jリーグワールドチャレンジ2023』横浜F・マリノスvsマンチェスター・シティ - 昨日の今日kinounokyou.hatenablog.com

 

26.girlhouse『the fourth ep』

the fourth ep [Explicit]

the fourth ep [Explicit]

  • Secret Road Records
Amazon

 

27.FM802『MUSIC FREAKS』DJ:塩塚モエカ(羊文学)

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28.ルカ・グァダニーノ『ボーンズ アンド オール』

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27.NHKファミリーヒストリー 草刈正雄~初めて知る米兵の父 97歳伯母が語る真実とは~』

www.nhk.jp

 

28.ゴトウユキコ短編集『天国』

 

29.サッカーキング『CALCiO 2020』番外編 俺はフィレンツェに行くんだ〜人生トーク

サッカーキング『CALCiO 2020』番外編 俺はフィレンツェに行くんだ〜人生トーク〜 - 昨日の今日kinounokyou.hatenablog.com

 

30.The Japanese House『In The End It Always Does』

In the End It Always Does

 

31.『いろんな私が本当の私』

 

32.木村元彦コソボ 苦闘する親米国家 ユーゴサッカー最後の代表チームと臓器密売の現場を追う』

 

34.MBS『あれみた?』ヘッドライト町田「25年売れていない芸人に密着したら想像を絶する一日だった!」 

【ゴミ屋敷】25年売れていない芸人に密着したら想像を絶する一日だった!【前編】 - YouTube

 

35.Olivia Rodrigo『GUTS』

 

36.ドラマ『パリピ孔明

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37.アニメ『魔法使いの嫁』第2シーズン

【10月5日(木)放送開始】「魔法使いの嫁 SEASON2」第2クールノンクレジットOP映像/「眠らされたリネージュ」JUNNA - YouTube

ヤマザキコレ×WIT STUDIO『魔法使いの嫁』1期〜2期(1クール) - 昨日の今日

 

38.ノムラララ『夏の魔物』完結

 

39.Alvvays『ASIA&OCEANIA 2023 TOUR』

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40.『愛のハイエナ』山本裕典、ホストになる

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41.SHIBUYA CLUB QUATTRO 35TH ANNIV. “NEW VIEW”『RHYMESTER × ODD Foot Works』

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42.The Last Dinner Party『Nothing Matters』

The Last Dinner Party - Nothing Matters - YouTube

 

43.東浩紀『訂正可能性の哲学』&『訂正する力』

 

44.マーティン・スコセッシ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

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45.アニメ『呪術廻戦』

TVアニメ『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」ノンクレジットOPムービー/OPテーマ:King Gnu「SPECIALZ」|毎週木曜夜11時56分~MBS/TBS系列全国28局にて放送中!! - YouTube

 

46.エイプリル・ヘニング/ポール・ディメオ『ドーピングの歴史』

「ドーピング」を考える---ポール・ポグバの活動禁止に寄せて - 昨日の今日

 

47.バカリズム『ブラッシュアップライフ』

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48.星野源『光の跡/生命体』

 

49.ペタグーグミ
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50.『M-1グランプリ2023』令和ロマン優勝

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MY BEST MOVIES 2023

1.スティーヴン・スピルバーグ『フェイブルマンズ』

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2.マーティン・スコセッシ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

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3.宮崎駿君たちはどう生きるか

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4.ウェス・アンダーソン『アステロイド・シティ』

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5.マット・ジョンソン『ブラックベリー

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6.グレタ・ガーウィグ/ノア・バームバック『バービー』

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7.ルカ・グァダニーノ『ボーンズ アンド オール』

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8.アキ・カウリスマキ『枯れ葉』

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9.ベン・アフレックAIR/エア』

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10.ミカエル・アース『午前4時にパリの夜は明ける』

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11.松本優作『Winny

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12.ダリオ・アルジェント『ダークグラス』

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13.立川譲BLUE GIANT

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14.トッド・フィールド『TAR/ター』

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15.トマーシュ・ヴァインレプ&ペトル・カズダ『私、オルガ・ヘプナロヴァー』

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16.リチャード・リンクレイター『バーナデット ママは行方不明』

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17.パク・チャヌク『別れる決心』

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18.シャーロット・ウェルズ『aftersun/アフターサン』

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19.山崎貴ゴジラ-1.0』

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20.チャド・スタエルスキジョン・ウィック:コンセクエンス』

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特別枠.草野なつか『王国(あるいはその家について)』

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MY BEST ANIMATION 2022

TVアニメ「進撃の巨人」最終PV|The Final Season完結編(後編)PV第3弾 - YouTube

 

1.MAPPA進撃の巨人』完結編

2.スタジオカフカ魔法使いの嫁

3.MAPPA『呪術廻戦』

4.STUDIO4℃火の鳥 エデン宙』

5.マッドハウス『葬送のフリーレン』

6.P.A.WORKS『スキップとローファー』

7.マッドハウス『AIの遺電子』

8.ライデンフィルム『君は放課後インソムニア

9.studioぴえろBLEACH 千年血戦篇ー訣別譚ー』

10.A-1 Pictures『NieR:Automata Ver1.1a』

 

マット・ジョンソン『ブラックベリー』

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In many ways, they’ll miss the good old days
Someday, someday

Yeah, it hurts to say, but I want you to stay
Sometimes, sometimes

When we was young, oh man, did we have fun
Always, always

The Strokes『Someday』

サーバーを介した通信技術によって、メール送受信機能を備えた50万台もの携帯電話を同時に使うことができる、とマイク(ジェイ・バルシェル)がプレゼンする。「メール送受信可能なキーボード付きの携帯電話」。魅力的なその響きと目の前にあるプロトタイプの操作性は、今後の成功を確信できるだけのものがあり、実際そのように未来は描かれていく。しかしながら、希望しかないはずのその瞬間を描くにあたって、未来における眼差しから、「懐かしいあの日々は楽しかったね…」とThe Strokes『Someday』*1が楽しげでありながらも切なく鳴り響くとき、これから始まる物語がもう過去の出来事、つまりすべてが終わったものであることが暗に示唆されるのだった。

マイク・ラザリディスとダグ・フレイギン(グレン・ハワートン)が中心となって設立されたRIM社はオタク集団のベンチャーIT企業。大学の仲間とつくったその会社は、映画を観たり(ムービーナイト!)、ゲームをしたりしながら、ときたま制作したITツールを売って金にすることができれば万々歳だろうという感じであって、ビジネス的な展望というものはほとんどないと言っていいほどであった。そんなところに、ITベンダーをクビになった実業家であるジム・バルシリー(マット・ジョンソン)がやってくるのだけれど、こいつが相当に厄介。クビになった理由は明確にされないが、物語を通して描かれる私利私欲の権化と見まごうほどのアクションを観れば大体の予想はつく。罵声に次ぐ罵声。ジムの強烈な野心は、資金繰りに頭を悩ませていたRIM社の弱点をうまく補完することになり、強引に成功へと導いていくのだった。開発スキルと売り込み力。この見事なハッピーマリッジによって、RIM社は業績を急速に拡大させていく。そして、その中心にあったのが、「ブラックベリー」。メール送受信機能を備えたキーボード付きの携帯電話だ。

本作のタイトルにもなっている「ブラックベリー」は、スティーヴ・ジョブズ率いるApple社のiPhoneが発表されるまでは、世界シェア1位を誇る携帯電話であった。しかし、機能性とデザイン性における最適解を叩き出したiPhoneの登場によって、ブラックベリーのシェアは急速に低下していくこととなる。本作は、「マイクとジムの結託によるブラックベリーの成功」「敵対的買収に対抗するための業績向上」「iPhone登場によるブラックベリーの没落」というおよそ3つの章で構成されているのだけれど、物語を貫くテーマは「コミュニケーションの阻害」である。1章から2章におけるブラックベリーの成功とその後の企業成長は、マイクとダグのコミュニケーションを阻害するし、2章からクライマックスにおける不正取引による業績拡大はマイクとジムのコミュニケーションの切断によって引き起こされるものである。

ブラックベリーはコミュニケーションを向上させることができる。誰もが携帯電話でメッセージをやり取りできる未来を期待している」と物語前半でジムは言った。しかし、Googleのエンジニアを引き抜きに行った物語中盤、「誰もがブラックベリーを手にして、仕事に集中していない。だからブラックベリーを禁止にしようとさえ考えている」と言われるのであった。そう、誰もが遠い他者との会話に夢中になり、今ここにある空間の問題に関わらなくなっている、と。このシーンはコミュニケーションを円滑にするはずの機器が一方でコミュニケーションを阻害していること端的に示しているものであり(またそれは今日の愚かな現実でもある)、その構図はマイクとジム、マイクとダグの関係においても言えるだろう。ブラックベリーの誕生に起因して膨張を避けられなったRIM社は、ムービーナイトやゲームを楽しんでいたかつての牧歌的な空間を排除していき、マイクとダグの穏やかな友情関係に溝を生む。また、iPhone発表後も自己の開発したプロダクトに拘泥し、あまつさえ趣味的と言っていいほどに新型ブラックベリー開発に躍起になるマイクと、こちらはまさに趣味のアイスホッケーのプロチームを買収することを画策するジムという視野狭窄に陥った2人は“共同”CEOとは言えなくなっていく。そして、発覚する不正取引。簡単にメッセージを送受信を可能にしたはずのブラックベリーであったけれど、マイクとジムはお互いのことを全く知らないのだった。司法取引を行なったマイクがジムに宣告するシーンには、電子メッセージでは表すことのできないエモーショナルなそれがある。

ラスト、中国に移転した開発工場から新型ブラックベリーが大量に送られてくる。マイクはそれを段ボールから取り出し、起動するが、異国からやってきたブラックベリーは彼の求めていたクリック音を鳴らさないのであった。彼の呼びかけに一向に応答しないブラックベリーの背中を開け、ハードウェアを確かめる。しかし映画冒頭のように、その隣にダグはもういない。

*1:The Strokesというバンドもまた、本作のマイクとダグのように、学生時代からの旧友たちによって結成されたバンドである