フジテレビのネット配信プラットフォーム「ホウドウキョク」にて、2015年4月〜2017年3月まで放送されていたトーク番組『真夜中のニャーゴ』。その月曜レギュラーを担当していたのが、南波一海と小出祐介という名コンビであった。Base Ball Bearの結成譚を語った「劇場版ベボベ結成」、小出裕介の1年のスケジュールをホワイトボードに書き出し振り返っていく「ベボベ小出裕介の1年をふりかえる」、唯一神・矢島舞美ルールというパワーワードを誕生させた「ハロプロトランプ」、スーパー有能企画「ビンゴトーク」、そして、小出裕介の労力が半端ないであろう、『ウルトラマンティガ』や『ゴジラ』シリーズを一気見して、その物語と内容を振り返りながら解説をしていく特集企画、南波一海による「うっかりさん特集」や「インディーズアイドル紹介コーナー」などなど、あまりに濃密度な番組内容に私は夢中になった。
『真夜中のニャーゴ』終了に伴って、2人の会話を聞けなくなってしまうのだろうかと心配していたのだけれど、番組終了間近の期間で重宝されていた「ビンゴトーク」を引き継ぐ形で、『こんばんはプロジェクト』として名を改め、LOFT9 Shibuyaで季節ごとに開催してくれたのは嬉しかった。しかし、週に1回(終盤は隔週もしくは月1)の『ニャーゴ』であの密度であったのだから、クールごとになってしまうとその濃密さはさらに増してしまうのであって、毎回4時間を超えて喋り散らかすのである(2人ともお喋りクソ野郎すぎる)。時計の針が23時を過ぎると、客がキョロキョロし始めて、「あれ…まだ続くか」「帰り始めている人もいるな…どうするか…」と目配せし合いながら、雪崩のように押し寄せてくる2人のトークを受け止め、終盤の時間を過ごすというのが恒例となっていた。
そんな状況であるから、トークを溜め込んでしまうのではなく、少しずつ放出していこうと、とうとう2023年3月からVoicyにて『こんプロラジオ』が始まったのである。歓喜!これからは2人の会話がどこでもいつでも聴けてしまうのだ。良い時代である。里咲りささんやDressingさんなど、懐かしのゲストが登場してくれないかなあ…というのも少しだけ期待しています。おすすめ!必聴です!
〈余談〉ここからは余談になるのだけれど、『真夜中のニャーゴ』個人的なお気に入り南波さんエピソードを2つほど記しておきます。*1。南波さんの「そういえば…」と突如始まる話には面白いものが多いのです。弾丸バリ島ひとり旅も最高。
〈人間は孤独〉
なんやかんやあって、「僕の抱えている闇よりも南波さんの抱えている闇のほうが深いですよ」という話から、南波さんが「つい最近も思ったことなんですけど…」と話し始める。以下、文字起こしをのせておきます。
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南波「つい最近も思ったことなんですけど、全然友達がいないんですよ」
小出「今、プライベートの友達っています?」
南波「まあ、いないことはないんだけど、皆無レベル。本当に久しぶりに会って話する人とか、飯食おうみたいになることはないことはないんだけど、日常的に何かをする人はゼロですよ。もうゼロ。で、ある時点で振り返るときに、人間っていうのは…人間っていうのはっていうか」
小出「え、マジ、そんなデカいフレームで?人間っていうのはって思い出し方しちゃうの?」
南波「人間というのは、すべてが人と別れていく人生を歩んでいくのかなと思ったりするんですよ…」
小出「ちょっと待ってください笑笑。どういうことですか?」
南波「あの…自分は昔から仲のいい人っていうのが、本当にいないんですよね。だから、ひたすら…恋人とかなんでもいいですけど、とにかく出会うことはありますよ。その…お友達とか。あることはあるんだけど、すべて別れていく。というのを考えた時に、すごい悲しい気持ちになってきちゃって。で、実は、アンジュルムのライブを見ながらも、ちょっとそういうことを思い出してきちゃって…笑笑」
小出「え?笑笑」
南波「人生の分岐点を見ながら、青春っていいなと思いながらも、これを繰り返していって、俺はひとりなんだなって思ったりもして、ちょっとうるっときましたね」
小出「俺はひとりっていう結論ということですね」
南波「俺はひとりって思うことが増えてきたね、最近」
小出「ああ、そうですか」
南波「そうなんですよ」
小出「いや、でも、大人になってからの友達の方が、最終的に友達だと思いますけどね」
南波「なんすかねえ」
小出「いや、だって俺も幼稚園、小中高とメンバーはいるけど、友達はいないですから。大学は行ってないし。で、ライブハウスとかでバイトをし始めてから友達ができ始めた感じなので、アーティストの友達とかも最近ですよ。ちゃんとできるようになってきたのは。いや、まあ、プライベートで遊ぶ友達ってなるとまた別ですけどね」
南波「新しい出会いとかもあったりするかもですけど、それも何年後かしたら疎遠になっているのかなあ…みたいな」
小出「えー…なんて悲しいことを思うんだ」
南波「…というのを最近考えてましたね」
小出「めちゃめちゃ暗い話だな笑笑」
南波「笑笑」
小出「そういう永遠のテーマを持ってきましたね」
南波「なんかねー本当に考えるわけ。結婚して、子どもを産んでみたいのが、人並みに欲しいのはあるんだけど、なんか今から誰かと付き合って、誰かと結婚してとかになると、もう40とかになってるのかなと思って、40で俺は挨拶に行って、娘さんをくださいとか、怪しいでしょ?絶対娘やらん!ってなるでしょ?」
小出「いやいや、でも相手も35くらいだったら大丈夫じゃない?」
南波「大丈夫かな?」
小出「大丈夫でしょ。16だったらやばいけど」
南波「年齢は関係なく、40の人が家に来たら嫌だろうなって」
小出「最近は普通でしょ」
南波「そうなのかなあ」
小出「40で結婚って今はザラですよ、周りとか」
南波「そうか…じゃあまあ、それは置いておいて、その先のことも考えるわけですよ。子どもができたとしましょう。で、最初は楽しいんだろうけれど、育っていって、家を出ていったら……やっぱ孤独だなあ…って笑笑」
小出「笑笑」
南波「ずっと孤独というのは付きまとうと考えると、なんか悲しくなってきちゃって…」
小出「でも、それは俺25のときでした」
南波「25で思った?」
小出「25のときにそれにすごい苛まれて、ヤバかった、精神状態が。いや、精神状態が不安定になるといるよりも、思慮深くなりすぎるというか。なんでも究極的にはひとりだってことにマインドがいくんですよ。これはその当時に話していたことなんですけど、すごい仲のいい友達がいて、その友達と何が気が合うかっていうと、孤独感に対する捉え方が一緒なんですよ。で、孤独って人によって例え方が違うんですよ。じゃあ、南波さんにとって、何かに形容するとどういうものですか?」
南波「え、何かに形容すると?孤独?寂しいとかそういう意味?」
小出「じゃなくて、もっと」
南波「感覚的には、道とかがあって、すごい遠くが賑わってるんだけど、それを眺めている石みたいな感じ…笑笑」
小出「あ〜、でも、わかりますよ。で、俺とその友達は、孤独感に対する捉え方が同じだ、と。どういうものかというと、遠くからすごくゆっくり、だけど、着実に近づいてきているほぼ止まっているボール、っていうのを、そうか、これが孤独だなあって、たまたまほぼ同時に2人で言ってたんですよ。という感じでいろんな人に、どんな孤独感ですか?って聞くと本当に人によって違うんですよね。布団みたいなものだって言う人もいるし、犬小屋みたいだって言う人もいたし。なんかわかる気がするって思うし、だから、南波さんのそれもすごくわかるんですよ。祭囃子みたいな賑わいがあって、ラスベガスみたいなのですよね?」
南波「そうそう」
小出「ラスベガスが砂漠にあって、そこから離れているところにある石でしょ?」
南波「そうそう」
小出「その例えもわかる」
南波「ちょっと話が変わるんだけどそ、ゆっくり近づいてくるってさ、『イット・フォローズ』っていう映画が今年の正月くらいにやってて…」
小出「ホラーのね」
南波「あれ観て、ああ…って思った。ゆっくり来るんだよね。怖い」
小出「近づいてくるんだよね」
南波「めちゃゆっくり来るっていう。ただゆっくり来るだけなんだけど、あれは人生そのものですよね。恐怖感」
小出「うんうん、なんかよくわからないけど、ゆっくり近づいてくるっていう。っていうのが25のとき。だから、1回なんか達観しちゃって、そこで。究極的には全部ひとりだなって。って感じになっていったら、自意識がグツグツ煮えてきちゃって、だから何をするにも自意識が邪魔でしょうがない。ナルシスとも少し違うんですよ。ナルシシストじゃなくて、自分の自意識過剰ということに過剰みたいな…それにさらに働く自意識みたいな。ちょっとまどろっこしいけど。本当にそういう内側に対するアンテナが、心の中が針の部屋になってるみたいになっちゃって、大変苦しんだけど、でも、なんだろうな。どっかでね、スコーッンって抜けたんですよね。それも自力で」
南波「自力で」
小出「考え抜いて、抜け出した感じ。だから、南波さんにもそのうち来ますよ」
南波「でも、俺は基本的に呑気なもんで、そういうもんだろうし、そっちの方がこの仕事向きだろうなって思っているので、まあ、いいんですけど」
小出「いいんだ笑」
南波「笑笑」
小出「最終的には笑」
南波「まあ、いいんですよ。基本的には楽観的な人間なので、そうかなあ、なるようになるよね、みたいな」
小出「オレオレ詐欺にも500万円振り込んじゃえって」
南波「そうそう。っていう気持ちで生きていこうかなって」
小出「これからも…」
南波「そうですね…」
小出「これって何の話してたんでしたっけ?笑笑」
南波「笑笑。だから、ライブとかみんなで見に行きますってなって、仲良しの人とかいて、いいなあって思うんだけど、やっぱ自分は違うんだなって思うんですよね。とか、アイドルオタクの人とかもそうですけど、なんだかんだアイドルオタクの人もどこかのコミュニティから離れて、そういう属性になったと思うんですけど、そういうアイドルオタク同士で仲良くなったりするから、僕はそういうのはできないから、なんかちょっと羨ましいなって気持ちもあったり、まあ、そういうのにはなれないんだなあって思ったりとか…してる日々です」
小出「なんかオタクの人たちのさ、すごい結束力とかは羨ましいよね。あれはなんかね、見ていて微笑ましい」
南波「本当にすごいなあって思って、全然リア充じゃんって思ったりするもんね」
小出「ハロプロファンの人たちもさ、集まってハロプロ縛りのカラオケとかさ、おお…って、羨ましいけど正直行きたいとは思わないけど笑」
南波「羨ましいって気持ちはありますよね」
小出「あるある。そういうのって楽しいだろうなって」
南波「うんうん」
小出「そういうことで、2人で始めたハロプロトランプですよ」
南波「笑笑」
小出「だから、あんなにも意地になって守り通そうとしたのかもしれないです、我々は」
南波「いやあ…なんか頭がボーッとしてきたなあ」
小出「そうなんですか?」
南波「え?もう順調?」
小出「いや、2時間前からずーっと眠いです」
南波「笑笑」
〈南波一海のバリ島旅行〉
文字を起こしていく気力が尽きたので、気が向いたら追加します…