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ニューヨーク×クリープハイプ 『ニューヨークリープハイプ』

f:id:nayo422:20230203013637j:imageニューヨークとクリープハイプによるツーマンライブ、『ニューヨークリープハイプ 』を東京・豊洲PITにて目撃。配信なしということで、本当にこの空間にいたひとだけの貴重なライブでありました。なんせ嶋佐・ノエル・ギャラガーDon’t Look Back in Anger』を生で聴けてしまった!のだ。ライブハウスで音楽アーティストとのツーマンであるから、もしかしたら…と思っていたのだけれど、見事に予想が的中して嬉しい。ニューヨークとクリープハイプのつながりといえば、『ニューヨークのオールナイトニッポン0』が放送されていた2016年に屋敷と尾崎が山登りロケをしたことが最初だろうか。そして、最新では2022年の松居大吾『ちょっと思い出しただけ』で同じショットに映ることはなかったけれども共演を果たしている。客層としては、3:7でクリープハイプのお客さんが多い印象だった。

まずは、くるり『ロックンロール』の出囃子でニューヨークが登場。会場がライブハウスということで、昨年『お笑いの日』で披露し、嶋佐タトゥー疑惑でも話題になった音楽ネタ『解散ライブ』を披露。屋敷がしっとりと歌い上げた後に、嶋佐がゴリゴリのラップで会場を煽ると、手を挙げている人やタオルを回している人がいて笑ってしまった。会場には笑いもあったのだけれど、全体としては“盛り上がっている!”という感じであって、これはお笑いライブでは体験できないものだなぁと思いました。しっかりと前座として盛り上げてクリープハイプにバトンを渡す(しかし、機材準備の転換が長くて、盛り上がりをうまいこと接続できていなかったのはまあしょうがない)。

暗闇の中にクリープハイプが登場。尾崎世界観

「観ました?映画…途中で芸人さんが出てくるやつ…合コンのシーン」

と呟き、『ナイトオンザプラネット』でスタート。青白い光の中で歌う演出では、『ちょっと思い出しただけ』終盤でのダンスシーンを思い返すなどした。続けて『身も蓋もない水槽』『キケンナアソビ』『月の逆襲』、そして「最近寒い日が続いてますが、こんな時こそってことで夏の歌を歌います」と『ラブホテル』を披露。演奏後、尾崎世界観は「3年ぶり、この感じ久しぶりですね」と声出し解禁初のライブをしみじみと感じ取っているようだった。

『HE IS MINE』では、サビ前で「いいのかな…やっちゃっていいのかな?」と問いかけると、下手からニューヨークが現れ、もう一度、「やっちゃっていいのかな…?」と問いかけると、嶋佐が全力の

「OKです!!!」

を披露。会場がどっと湧き、

「うおっ!めっちゃ盛り上がってる!!今までで1番ウケてるんじゃないか!?」

と屋敷がツッコミを入れる。しばらく手拍子をしながらステージ上にはいたものの、その後何もせずにそそくさと戻っていたのを見ながら、あーほんとに「OKです!」だけやりにきたんだなあと笑ってしまった。『週刊誌』『ポリコ』『SHE IS MINE』を演奏し、「どれだけ台無しにしてしまっても、このあと絶対に笑い溢れる空間にしてくれるというのがあると安心して歌えますね、毎回ニューヨークがいてほしい」と話して、『傷つける』『二十九、三十』でクリープハイプのステージは終了した。

出囃子『New York City Cops』でニューヨークが登場。「いやー、クリープハイプさん凄かったなあ、音がでけえ、俺らの『New York City Cops』の音小せえ、俺でさえ、まだクリープハイプが良かったもん。もっと聴きたいよ」と屋敷が話し、嶋佐も「そうだね」と首肯する。「あと、めっちゃ歌声高いところからのボソッと低い声で“ありがとうございました”って言うのがいいよな、その高低差があるほどいいねん」と笑いを誘い、「学生時代、バンドとかやりたかったよなあ」と『窪塚ヤンキー』漫才へ繋げていく。漫才ラスト、窪塚洋介市原隼人仲間由紀恵らが集結して、いつもなら地面が割れて武田鉄矢が出てくるところなのだけど、今回は「ブラボー!」と叫ぶ嶋佐が現れたのに腹が捩れるほど笑ってしまった。「なんで最後だけ最新のやってんねん」と屋敷がツッコミを入れるまでの1秒間くらいめちゃくちゃスベっていた。

「いやあ、それにしてもクリープハイプさんのライブよかったですねえ、ムラムラするよなあ」(屋敷)、「その感想あってんのか、お前」(嶋佐)という会話を繋ぎに入れて、『ナンパしたらすぐついてきた女の子』へ*1。これも最後が変更されていて、彼氏として『BREAKING DOWN』の“こめお”を登場させていたのだけど、ピンときている人が少なかったようでこれもまたまあまあスベっていた。屋敷が「こめおスベってるやん、2本目の最後にしてスベっますやん」と嘆いていた。

3本目は『キングオブコント2020』で決勝ステージまで進んだ『結婚式の余興』だった*2。もう最強セットリストである。ズタ袋の山を持ってくるところで、クリープハイプ尾崎世界観が台車を押して登場。尾崎が重くて持ち上げられない演技をしたあとに嶋佐が口で掴んで持ち上げると拍手笑いが起きていた。今度はドリルを尾崎に手渡し、腹に当てろと指示を出し、こめかみにも当てて会場を盛り上げていく。テンションが上がった嶋佐がそのまま尾崎世界観のこめかみにもドリルを当てていて面白かった。

コント終了後、幕間の会場SEとしてoasis『Whatever』が流れていて、まさか…まさかくるのか…やるのか…とドキドキしていたのだけれど、ニューヨークとクリープハイプが揃って登場し、トーク&企画が開始。ニューヨークと尾崎世界観のコラボコントでは、尾崎が「このドリル危なくないですか?」とリハで何度も言っていたことが明かされた。「俺らがコントやるときはテープとか貼ってたんですけど、今回は尾崎さんがやるっていうのに何もなしなんですよ」(屋敷)。長谷川カオナシは『ベース』のコントならできるかもしれないと尾崎に相談していたらしい。

企画は、『M-1』2019決勝ネタニューヨーク『ラブソング』を尾崎に添削してもらおうというものだった*3で、「バイトを休んだ→会社を休んだ」、「始めたよマッチングアプリ→愛モード(iモード)スター・ビーチ」、タイトル「ラブソング→冷静と高熱の会田」などが修正された。そのあと、カオナシのピアノ演奏に乗せて、嶋佐が歌い上げた。「初めてこの歌ちょっと刺さりましたわ」(嶋佐)。

このままライブ終了か…と思いきや、「ちょっといいすか、最後1曲」と嶋佐が言い、屋敷がアコギ、スタッフたちがもう一度機材の準備を始め、嶋佐がサングラスをかけてデニムジャケットを羽織った瞬間、鳥肌が立ち、胸の高鳴りが…!嶋佐・ノエル・ギャラガーがそこにいることが信じられないのだけれど、

Slip inside the eye of your mind
Don't you know you might find

という歌声が響き渡っているのであって、うわああ…とじーんとしてしまった。今回のライブ、ニューヨークのことを知らないクリープハイプファンのためにも有名なネタをやろうというネタ選びだったのだとは思うけれど、決勝に初進出した『ラブソング』、『キングオブコント2020』決勝ステージへ進んだ『結婚式の余興』、『ラヴィット』で披露した嶋佐・ノエル・ギャラガー『Don't Look Back in Anger』とニューヨークファンにとってはなかなかに感慨深い構成であった。2019年『M-1』決勝に行くまではニューヨークがこんなことになるとは想像もしていなかった。今やテレビをつければそこにいて、冠番組もあって、3000人の前で歌っているのだ。屋敷の「またやりましょう」に尾崎世界観が「ぜひやりましょう」と返していたので、次回があることを期待したい。『ニューヨークリープハイプ』めちゃくちゃ良いライブでした。

*1:『ナンパしたらすぐついてきた女の子』https://youtu.be/cxMe6fZwId0

*2:『結婚式の余興』https://youtu.be/CWwvamL_4yA

*3:ニューヨーク『ラブソング』https://youtu.be/Bo_0b2Nik7c