昨日の今日

KINOUNOKYOU

お笑いとテレビと映画と本と音楽とサッカーと…

佐倉準『湯神くんには友達がいない』

野球部のピッチャーで勉強も完璧な湯神くんは、ほとんどのことをひとりで完結させることができる。基本的にイヤフォンをして大好きな落語を聴いているために他人と話そうとしないし、野球にしてもチームとして勝つというよりは自分の目標をいかに達成するか…

ヨルゴス・ランティモス『哀れなるものたち』

人類は進歩できるのか 西洋哲学的価値観を内包するこの科白は、本作で何度も問いかけられる。そして、それを体現するかのように、ベラ・バクスター(エマ・ストーン)は、問答を行う哲学者のように他者と出会う旅に出るのだった。異なる価値観に触れ、自らを…

ホイッスルが鳴ったら。「2024.01」

あなたは見ただろうか。1月28日(日)に開催された大阪マラソン2024を。​19年ぶりとなる女子マラソン日本記録更新の瞬間を。日本人初の2時間18分台という快挙を達成した前田穂南の走りを。MGCファイナルチャレンジ対象レースとして実施された大阪マラソン202…

カンテレ『前田穂南が走った、42.195km。』

19年ぶりの日本新記録となる「2時間18分59秒」*1をマークした前田穂南。ラスト、広いストライドでタイムを更新しようと地面を蹴る姿に、スポーツにおける美徳の実践を見ることができた。美徳とはマイケル・J・サンデルが提唱した概念であり、「人間が生まれ…

『Homecomings New Neighbors FOUR Won’t You Be My Neighbor? January 29, 2024 at Shindaita FEVER』

2月に開催される『Homecomings New Neighbors FOUR Won’t You Be My Neighbor? February.10, 2024 at Kyoto KBS Hall』にて、バンドからの卒業が決定している石田成美。彼女の最後の東京ワンマンとなった、同ツアーat Shindaita FEVERに参加した。新代田フィ…

The Japanese House 2024.01.18 at SHIBUYA CLUB QUATTRO

The Japanese HouseをSHIBUYA CLUB QUATTROにて目撃。ライブハウスの扉が閉まらないほどに多くの人が駆けつけていた。クリエイティブマンが彼らの集客力を見くびっていたのではないかと思ってしまった。オープニングを飾るのは『Sad to Breathe』『Touching …

ホイッスルが鳴ったら。「2023.12」

これから終わるはずなのに、1月になった瞬間にもう始まっていると考えるとうんざりしている。今年は近年のなかでも最も早く時間が過ぎ去ってしまった1年間だった。「20歳を過ぎたあたりから、死を感じることができるようになったよね。早すぎて、怖い。部活…

MY FAVORITE MOMENTS 2023

1.ニューヨーク出演番組 ニューヨーク×クリープハイプ 『ニューヨークリープハイプ』 - 昨日の今日 【年末】ニューヨークの2023年を振り返る。テレビでもYouTubeでもプライベートでも色々ありました! ※M1より前に撮影したものです - YouTube 2.NHK 大河ドラ…

MY BEST MOVIES 2023

1.スティーヴン・スピルバーグ『フェイブルマンズ』 2.マーティン・スコセッシ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』 3.宮崎駿『君たちはどう生きるか』 4.ウェス・アンダーソン『アステロイド・シティ』 5.マット・ジョンソン『ブラックベリー』 6.グレタ…

MY BEST ANIMATION 2022

TVアニメ「進撃の巨人」最終PV|The Final Season完結編(後編)PV第3弾 - YouTube 1.MAPPA『進撃の巨人』完結編 2.スタジオカフカ『魔法使いの嫁』 3.MAPPA『呪術廻戦』 4.STUDIO4℃『火の鳥 エデン宙』 5.マッドハウス『葬送のフリーレン』 6.P.A.WORKS『ス…

マット・ジョンソン『ブラックベリー』

In many ways, they’ll miss the good old daysSomeday, someday Yeah, it hurts to say, but I want you to staySometimes, sometimes When we was young, oh man, did we have funAlways, always The Strokes『Someday』 サーバーを介した通信技術によって…

羊文学『まほうがつかえる2023』at LINE CUBE SHIBUYA

ライブを見ながら考えていたのは、ミサイルがこの会場に落ちてくることだった。でも、それが起こらないと安心しきっているからそんなことを考えられているのかもしれなかった。コロナ禍と経済の停滞を経て、世界はもうあらゆることから目を逸らすことできな…

ホイッスルが鳴ったら。「2023.11」

11月5日に放送されたアニメ最終話をもって、『進撃の巨人』が完全に終わった。完結。『NARUTO -ナルト-』や『ONE PIECE』は生まれたときにはもうあったという感じだったけれど、『進撃の巨人』はちょうどリアルタイムでその誕生と物語の進展に注目できた大ヒ…

「ドーピング」を考える---ポール・ポグバの活動禁止に寄せて

はじめに---ドーピングを考える 2016年の夏にたくさんの移籍金を残してマンチェスター・ユナイテッドに旅立ったポール・ポグバが、フリートランスファーとしてユヴェントスに帰還したのは2022年の夏であった。ディバラに託した背番号10をもう一度自分のもの…

倉持裕『リムジン』

物語は、小学校の統合により、子どもの通学が片道およそ40分になってしまうことを嘆く彩花(水川あさみ)と同じく小学生の子どもをもつ母親(青木さやか)の会話シーンから始まる。そんななか彩花の夫である康人(向井理)が、現在の町長である衣川(田口ト…

ホイッスルが鳴ったら。「2023.09-10」

9月が終わったと思ったら、もう10月が終わってしまった。季節の変化もなく、10月にしてまだまだ微妙に暑い日もあるという気候にあって、うまくリズムが刻めないでいる。私は走る人間なのですが、夏の間は暑すぎて走る気にならないというか、19時過ぎてからと…

羊文学 Tour 2023『if i were an angel,』

「エンディング」とは、物語の結末のことである。そして、それにはハッピーエンド、グッドエンド、トゥルーエンド、バッドエンド、デッドエンド、ノーマルエンド......などたくさんの種類がある。物語はいつか終わり、世界は閉じていく。しかし、そのエンデ…

ホイッスルが鳴ったら。「2023.08」

『君たちはどう生きるか』を観た。なんだか否定的というか、もしくは称賛するにしても俯瞰的な視点やメタ的に観ている感想ばかりが流れてきている感じがして、おー、そうか、と思ったのだけれど、個人的にはほんっとに素晴らしいなと、ただ思った。テーマ的…

adieu『coucou -夏のつどい-』

adieuライブが1年ぶりの開催。「1年に1回くらいはみんなで集まって、同じ空間で音楽を共有しましょう」(adieu)ということで企画された夏のつどい。しかしながら、“夏のつどい”というものはあまりに過酷だ。先日のサマソニで何十人もが倒れたように、今回の…

君島大空(独奏)/塩塚モエカ at 渋谷WWW

君島大空と塩塚モエカの弾き語りツーマンを渋谷WWWで目撃。2人といえば、七尾旅人『サーカスナイト』coverなのであって、それを聴くためにも参加しないという手は無いわけです。この組み合わせによるツーマンは4年ぶりくらいだそうで、ここに参加できたこと…

ホイッスルが鳴ったら。「2023.07」

夏ということで、ルネ・クレマン『太陽がいっぱい』、アンソニー・ミンゲラ『リプリー』、フランソワ・オゾン『Summer of 85』を連続鑑賞。『太陽がいっぱい』は古典としての充実した質感があるし、『Summer of 85』との対比としては能力主義への批判または…

『Jリーグワールドチャレンジ2023』横浜F・マリノスvsマンチェスター・シティ

『Jリーグワールドチャレンジ2023』横浜F・マリノスvsマンチェスター・シティを国立競技場で観戦。昨年のパリ・サンジェルマンに続いてのスター軍団目撃である。プレミアリーグ、FAカップ、チャンピオンズリーグという歴史的3冠を達成した王者であるシティは…

『セルティックFC・ジャパンツアー2023』at 日産スタジアム

日産スタジアムにて開催された『セルティックFC・ジャパンツアー2023』横浜F・マリノスvsセルティックFCを観戦。6-4、両チーム合わせて10ゴールを記録するなどオープンな展開で大いに盛り上がったのだけど、来場者数は20,263人…日産スタジアムでは今季最少だ…

パンプキンポテトフライ山名ソロライブ『OOPS!』

山名自身が受付を担当し*1、早稲田クローバースタジオには開演前SEとして、山名のカラオケが流されていた(椎名林檎『丸ノ内サディスティック』、ASIAN KUNG-FU GENERATION『ソラニン』、和田光司『The Biggest Dreamer』、パスピエ『スーパーカー』)。席に…

ヤマザキコレ×WIT STUDIO『魔法使いの嫁』1期〜2期(1クール)

アニメ『魔法使いの嫁』SEASON2の1クール目が終わったので、1期と合わせた感想を残しておきたい(2クール目は10月)。まず、1期に関して簡単なテーマ設定をしてしまえば、「構造的暴力と自律」であったように思う。生まれた時から人ならざるものを見ることが…

ホイッスルが鳴ったら。「2023.06」

Zlatan Ibrahimovic - Top 10 Goals Ever |HD - YouTube ズラタン・イブラヒモヴィッチが現役を引退した。フットボールを象徴する存在としては、メッシとロナウドがまず挙げられるだろうけれど、このズラタン・イブラヒモヴィッチという存在はフットボールに…

嶋佐和也×河合郁人『ちょっと福岡行ってきました』

ニューヨーク嶋佐和也とABC-Z河合郁人という個人的に最良のコンビをキャスティングしてくれた『ちょっと福岡行ってきました』スタッフに感謝を。しかし、2人がわちゃわちゃと話しているだけなのであって(それだけで幸福であるが)、特にこれといった感想と…

パンプキンポテトフライ×黒帯『メガネ0人』

パンプキンポテトフライのツーマンライブ3本勝負、その2番目『メガネ0人』に行ってきた。開演時間を少し過ぎての参加になってしまったので、座・高円寺2に入った時にはちょうど「あらしたあー」という谷さんの声でパンポテ1本目の漫才が終わったところだっ…

人生には必要ないですね

『だが、情熱はある』10話。フォアグラを食べた若林*1が「美味しいけど、人生には必要ないですね」と言うのだけど、それにとても共感した。そして、社会にあるほとんどのものが私にとって必要ないなと感じることが最近ほんとに多い。私は必要以上にご飯を食…

木村元彦『コソボ 苦闘する親米国家 -ユーゴサッカー最後の代表チームと臓器密売の現場を追う-』

単一民族国家であるかのように誤認してしまえる日本という国でこの本を読んでいると、あまりに過酷な分断と対立の連続に衝撃を受けてしまう。序章の冒頭にあるように、極東アジアとの距離的な遠さ、文化的、宗教的馴染みの薄さもあって、アイデンティティの…