昨日の今日

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赤い公園『THE PARK』

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最高。ヴォーカリストの座を石野理子が絶対的に勝ちとった『消えない』から、『絶対零度』を挟んで、4月15日にリリースされた赤い公園のNEW ALBUM『THE PARK』がめっちゃ良い。収録されている11曲のどれもが強くて、キャッチー。一聴すれば、ググッと惹きつけられてしまう。1曲、1曲がシングルになりそうほどにパワフルであって、独立した存在への肯定がある。アルバムを通して歌われる十人十色の“個人”や他の何とも比べることのできない、みんながそれぞれ持つ“1日”のキラメキなどの独立した存在。それを石野理子が豊富なヴォーカリゼーションによって支えている。もちろん演奏によるサウンドの広がりも抜群。

Everyone is a Mutant 

違いを受け入れる。そして、変化することは素晴らしいと赤い公園の第二章を高らかに祝福している。そんな瑞々しい空気に視線が重なる。

レンズ越しに笑うだけで

手がふるえた私に気づかないでね

ふれてみたい、広い、深い

紺の肩に花が降る

『紺に花』

と歌われるなんとも素敵なカット。1コマ。津野米咲による巧みな視線の誘導に、思わずキュンとしてしまう。この変化していき、過ぎ去ってしまう時間を素敵にスローモーションにしていく。この誰かの時間の延長線上にある夜の公園にも優しくサウンドを落とす。僕はこの『夜の公園』が好きだ。

「ちょっと出てきてくれないか」話の中身はわかってる

だれにも見せない部屋着からちゃんとした部屋着に着替えてる

裸足にサンダルを引っかけて ふやけた指先が冷えていく

22時過ぎてももう私のこと捕まえてくれないお巡りさん

灯りの向こうで星がはしゃいでる

吐き出したいこと受け止めるから

止めたブランコと語り出したブルー

「そんな子はやめちゃえ」って

言いかけて飲み込む缶のジュース

困らせたいけど優しくしたい

並ぶブランコの距離がもどかしい

悪い子になりたい夜の公園

あの日はなんだか肌寒くて 一緒に風邪をひいて嬉しかった

想いを伝える勇気を分けたら私の分だけが無くなった

みんな寝静まって二人が主演の映画みたい

灯りに紛れて月が見張ってる

泣き出したっていいそばにいるから

軋むブランコに生暖かい風

「そろそろ帰ろうか」って

切り出すきっかけを見つけないでね

近付きたいだけ壊したくない

並ぶブランコの距離のままでいい

そう言い聞かせた夜の公園

いつもありがとうなんて

言わないでよ後ろめたくなるから

吐き出したいこと受け止めるから

止めたブランコと語り出したブルー

「そんな子はやめちゃえ」って

言いかけて飲み込む缶のジュース

困らせたいけど優しくしたい

並ぶブランコの距離がもどかしい

悪い子になりたい夜の公園

私じゃ駄目ですか

『夜の公園』

視線が紡いでいく物語を石野理子が優しく歌い上げている。パワフルからこの透き通ったヴォーカルまでの幅がすごい。「私じゃ駄目ですか?」と残された言葉が夜に溶け出す。このアルバム最大のサプライズである『chiffon girl feat.Pecori(ODD Foot Works)』もバンドサウンドとラップの色気が絶妙なバランスで絡み合い溶けてゆく。そんなじんわりした後半の曲群であるのに、ラストに待つのが『yumeutsutsu』という爆発したものであるのがめちゃ良い。バンドを駆動させるのは、いつだって情熱や闘争心なんだ、というのが伝わってくる。


赤い公園 「yumeutsutsu」Music Video