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アンドレア・ピルロという男について

アンドレア・ピルロユベントス(トップチーム)の監督になるという衝撃のニュースが深夜3時に飛び込んだときには、信じられない気持ちはありながらも、やはり嬉しさが込み上げてきて、飛び跳ねてしまった。Twitterでも驚きの声で溢れていて、心配する意見と期待する意見で二分されていたのだけれど、僕は迷わずにアンドレア・ピルロを支持したい。なんてったって、彼のユベントスU23監督就任プレゼンテーションでのコメントは、

「選手にユベントスでの意味と、ユベントスとは何かを理解させる」

である。この言葉少ない彼が発した力強いスピーチに胸が熱くなる。2006年のワールドカップ優勝監督、元イタリア代表指揮官マルチェロ・リッピやローマのレジェンド・トッティピルロの成功を確信していると発言しているのも嬉しいではないか。


Andrea Pirlo - The Best Of The Maestro Ever | HD

アンドレア・ピルロはこの世で最も好きなサッカー選手だ。元イタリア代表で、インテルミランユベントス というセリエAの3大クラブを渡り歩いた偉大な選手である。長髪と顔下半分を覆う髭。身長177cm、正確なパスと戦術眼が持ち味のレジスタで、愛称はマエストロ。中盤の底でボールを扱い、エレガントなタッチと視野の広さで試合をコントロールする姿に憧れてしまう。そう、彼の最も特異である資質は、軽く相手をかわした後に、遠くを見ることができることであり、ピッチを縦断するロングパスの軌道は惚れ惚れするほどに美しくて、世界を魅了してしまう。ロングパスというのはたった一本で世界を変えてしまう魅力がある。勿論、ショートパスを繋いで、相手の体勢を少しづつ崩して行くのも素晴らしく好きだ。しかし、時を止めてしまうほどの長距離の線をピッチに描くことは試合の流れというものを簡単に分断し、勝利への道を瞬時に手繰り寄せ、サッカーの神様に愛される権利を手にすることができる。それはミドルシュートフリーキックも同様でして、試合を決定づける右足一線は熱狂をもたらすのだ。本当に涙が出るほどに素晴らしい軌道だ。けど、自伝でも

僕は、試合の見方が他の選手とは違う。視界が違うのだ。僕の視野は広く、なおかつ瞬間的にすべてを見渡すことができる。普通のミッドフィルダーは前を向き、ストライカーだけを見ているが、僕はストライカーと僕の間にあるスペースを見ることに集中して、パスの出しどころを探る。これは戦術学というよりも幾何学だ。スペースをワイドに見て、簡単に通せるパスコースを探す。コースが閉ざされているときは、こじ開けやすい扉を探す。これができるのは僕だけしかいない。

アンドレア・ピルロ『我思う、ゆえに我蹴る。』

こんなことを書いてしまうのは、さすがに凄いなぁと笑ってしまうのだけど、ネイビーのキャップにシャツを着たスタッフ姿も実にカッコいいし、こんなことを言ってしまえる監督なんて頼もしいじゃないか。きっと戦術的な理解度というか、教科書的なピッチの扱い方だって飲み込んでいるだろうし、これからのユベントスが本当に楽しみである。ベンタンクールを最高にカッチョイイ男に変身させてくれよ!とりあえずはリーグ10連覇をピルロに達成してほしい!!