adieu2枚目のアルバム『adieu2』がついにリリース。とにかく必聴の作品なのです。前作から引き続いて、楽曲提供者が豪華でありまして、君島大空、古舘佑太郎、カネコアヤノ、塩入冬湖、小袋成彬ととんでもない布陣であって、アレンジには前作から引き続いてYaffleが構えているのだ。本作は彼らが紡いでいく短編オムニバスといった赴きであるけれども、描かれるフィーリングは一貫している。永遠というものを信じても信じなくても、隣に誰かがいてもいなくても、どちらにせよ私たちはどうせひとりであるということ。ひとりで夜に佇むしかないということ。それを繰り返すということ。『adieu1』から続いて夜のモチーフを引き継いでいるわけで、前作を夏とするのなら、今作は季節を跨いで春である。
そして、また繰り返す夜の途中で
と始まる『adieu2』が示すように、夜を繰り返し、私たちはまた夏(『adieu1』)に戻ってくることになるのだ。しかし、その夏は1年前とは全くの別のものであるのだろう。繰り返し、繰り返し、夜を生きるのだけれども、それは同じではないのだ。同じように見えながらも微妙に違う夜の暗闇を私たちは羅針をもって頼りなく進んでいかなければならない。この先にあるものが良くなっているのか、悪くなっているのかもわからずに。その不安に押しつぶされそうになりながらも、ゆっくりと確かに進んでいく誰かへ向けてadieuは歌う。そして、夜という暗闇の中で光り輝く私たちの魂を救う。それはさながらナウシカのようでもある。
いのちは闇の中のまたたく光だ
adieuが夜のことを歌うのは、光のことを歌うことでもある。私たちは光り輝いているだけの存在ではない。それと同時に何をも見えなくさせてしまうだけの暗部を秘めている。その夜にそっと触れて哀しくなってしまうこともあるのだけれど、夜のベランダで暗闇を見つめる。あちこちで光(命、暮らし)が見える。ふと空を見上げると天使が降りてくる。
あなたが嘘をつかなくても生きていけますように
『よるのあと』
天使がそっと囁いた 頑張ろうぜ
『天使』
孤独な魂に天使がキッスをする。カネコアヤノによるソングライティングがどこまでも私たちを勇気づけるのは、「ちっぽけだからこそ」というような軽やかさがあるからだ。頑張んなくてもいい、でも、ちっぽけだからこそ、もうちょっとだけ好き勝手にやってやろうぜ、と。そんな小さな力が暗闇に光を差し込んでいくのである。
山田智和によるMVを彷彿とさせる暗闇の中に差す光が印象的な『愛って』や
『天使』、『春の羅針』などビデオをしっかりと作り上げ、曲を大切にしていこうという思いがうかがえる。8月にはFirst Liveが決定しているのでして、駆けつけなければならないでしょう!