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水上悟志『サイコスタッフ』

水上悟志惑星のさみだれ』が今年の夏にアニメ化されるとの報せを見た。多くの人が待望していたようなのだけど、しかし、私はその原作を読んだこともなければ、水上悟志作品自体読んだことがない。というわけで、無料公開されている『サイコスタッフ』を足掛かりとして読んでみたのだけど、これがめちゃ良い作品でビックリしてしまった。名作だ。男の子と女の子と普遍的なボーイミーツガールを中心に、努力と能力と責任というテーマを巧みに絡めてみせてしまうその手腕が見事としか言いようがない。世界を滅ぼすことも救うこともできてしまう能力を持つこと、その能力を使うこと/失うこと、努力して何かをすること、何の努力もせずゲームばかりしていても東大に受かること、他人と比較すること、認められる努力と認められない努力のこと、環境に自らを合わせること、環境とは別に自らの善き生を実現させること、好きな人がいること/いないこと・・・与えられた力をいつどのように用いるのかを社会の中で育んでいくこと。目の前から消え去ってしまった女の子のその余白に存在が刻印されていること。その繋がりが誰かを特別な気分にさせること。高く広い空のコマのラストは誰かの世界をゆっくり押し広げ、居場所をそっとオファーする。超能力を持たないほとんどの誰にでも「おれはおれだって特別な気分になれ」ることを『サイコスタッフ』は教えてくれる。

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