待ってました!!!!!!…叫んでしまった。ブリキカラスによるラジオがGERA放送局にて始まりました。めでたい。とにかくブリキカラスが好きなのだけれど、まずもってルックがいい。どんよりとしたオーラを纏いながらも、それを抜群のオリジナリティとして解き放っている。宮下草薙とも馬鹿よ貴方は平井“ファラオ”光の暗さとも違って、じめっとしている。何か暗さの本質を体現したような佇まいでもある。
2人とも職務質問をよく受けるという経験からつけられた『ショクシツ！』というタイトルが象徴するように実に不気味。コンビニを出たら私服警官2人に囲まれて「傷痕見せてください」と尋ねられ、注射痕がないかどうかをチェックされる黒田と、高円寺でおにぎりを食べながら歩いていたら、隣でパトカーが急ブレーキし、飛び出した警官から腕を掴まれ「なんだ…おにぎりか」と言われてしまう小林*1。なんとも固有なエピソードを持つ2人がローテンションに、しかし楽しそうに話すのがクセになるのだ。
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
警察官職務執行法2条1項
これは職務質問の根拠条文であるのだけれども、改めて見るとなんとも酷い物言いである。“異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる”人間であるとブリキカラスは警官に判断されて、職務質問に至っているのだ。酷い話だが、それを笑いに変えてしまう2人の陰気なトークが魅力的であり、暗さを最大の武器にしているブリキカラスは、現代の暗闇を歩く手助けをしてくれることでしょう。
日頃の職務質問ストレスの反動からか、このラジオではブリキカラスがリスナーを取締る立場に回ろうとする。エピソードを送ってもらって、キラキラかノーキラキラかを判定する『キラキラ警察』というコーナー。マネージャーと付き合ったことがある＝キラキラであるが、卓球部でマネージャーと付き合ったことがある＝ノーキラキラになる、という意地悪な目線だ。教室の隅っこで身勝手にケタケタと笑い合う姿が浮かんでこよう。独善的な空間が最も至高であるというような。ここだけの話ですよというような。まさしくラジオである。
人の所属していた部活を聞くと黒田が興奮することから、メールには学生時代に所属していた部活を記入するよう要求されている。他のラジオとは違う臭いがプンプン漂っているではないか*2。ブリキカラスの漫才『コンビニのトイレ』『物件』『デート』に登場する一筋縄ではいないキャラクターのように、このラジオも一筋縄ではいかなそうな特殊な質感がある。これからが楽しみなラジオがまたしてもGERA放送局にて始まってしまいました。うれしい悲鳴だけれど、時間が足りない…。
小林メロディnoteで綴られている『家賃25000円のボロ家に住んで』も面白いので、是非。和みますよ。
*1:『人志松本のすべらない話』JUJUのMVトークめっちゃ好き
*2:粘着質な、嫌な感じもするがそこもいい
