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「ソマリと森の神様」第1話〜第3話


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 かつて人間と他の種族との戦争があった。人間が他の種族を異形と呼び、気味が悪いと言い始めたことが原因だった。「ソマリと森の神様」は異形との戦争に敗れた人間が姿を消した世界で、人間を探す森の番人・ゴーレムと人間の子供ソマリが旅をする物語だ。

 ゴーレムは森を巡回し、食物連鎖には関与せず、ただ自然の摂理を管理し続ける森の守護者であり、1000年の時を森で過ごし、時が来ればその役目を終えることが存在異議であった。役目の終わりも見えてきたとき、森で出会った人間の子供ソマリにお父さんと呼ばれたことからゴーレムは森を出てひとりぼっちのソマリのために人間を探す旅を決意する。森の番人としてひとりぼっちだったゴーレムは自分には感情がないと言うが、ソマリは体の強張りを見つけるなどして、ゴーレムに感情の色をつけてゆく。ゴーレムは人間を探し、ソマリをひとりぼっちから救う旅路で自らの感情を探し、自らの孤独とも向き合おうとしている。

ソマリ「お父さん、焦ってた!」

ゴーレム「何が愉快なのか理解しかねる。そもそもゴーレムに感情は…」

ソマリ「だってお父さんの体こわばってた!ソマリには、おみとおしー」

 第3話では、旅を続けるためのお金を稼ぐためにアリの穴街にあるコキリラの店で仕事に励み、ソマリがコキリラの息子・キキーラと外に遊びに行きたいと言っても、危ないからと絶対に許可しない。このゴーレムの姿から、感情がないなんてことは成立しないように思えるが、やはりゴーレムは感情に対して無自覚だ。

ソマリ「お父さんは、ソマリとさよならしたいのかもしれない。お金を集めて早く旅を終わらせようとしている。でも旅が終わったらお父さんはいなくなっちゃうかもしれない。ソマリはお父さんとずっと一緒にいたいのに…」

 ソマリが外に遊びに行くことに否定的だったゴーレムが、それを許可したのは、ソマリの初めてできた友達キキーラとの関係を無下にはしたくないことからだった。ゴーレムは孤独から救うことで旅を終えようとし、ソマリは孤独になりたくないために旅が終わることに不安になる。

ソマリ「お父さんは、お父さんだからそう呼ぶんだ。危ないときは守ってくれる。はぐれそうなときは、手を握ってくれる。夜、眠れないときは星を数えてくれる。お父さんはソマリのそばにいてくれる。だからお父さんはソマリのお父さんなんだ」

 かつて人間と他種族との戦争の歴史がある「ソマリと森の神様」において、人間の子供がこのセリフを言うことは、とても重要なことだろう。種族を越えていとも容易く愛は芽生えることに、まだ第3話にもかかわらず、彼らを見ていると優しい気持ちで納得してしまう。

 ひとりぼっちの2人が出会い、孤独から救われる旅は、まだ3話。水瀬いのり小野大輔、その他豪華な声優陣の演技を、OP主題歌の森山直太朗吉俣良の劇伴が優しく包み込む。今期アニメ豊作の中でも、この旅アニメは一段と力作である。