昨日の今日

KINOUNOKYOU

お笑いとテレビと映画と本と音楽とサッカーと…

遠くへ行きたい。「2022.8」

f:id:You1999:20220901024951j:image8月が終わり、少しずつ気温も下がってきて、とても過ごしやすく心地よい。助かる。わたしはクソ暑い夏という季節が本当に嫌いなので、すこぶる嬉しいのだけれど、こうして日が短くなっていくのとともに夏が終わるのを実感してしまうとそれはそれで、夏…待ってよ…もう行ってしまうの…?行かないでよ…寂しいよ…ごめんよ…という情けない気持ちになる。夏は来年も来てくれるのでしょうか。不安です。ひどいことを言ってしまったの謝りたい。未練がましい思いを抱えながらアニエス・ヴァルダコートダジュールの方へ』を観て夏を終えようと思ったのだけれど、配信でもDVDでも観れそうな手段が見つからなかった。残念です。それでなんとなく手持ち無沙汰になったので、なんとなく手に取った村上春樹世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読み始めたら、そのままぐんぐん読んでしまった。久しぶりに読むと面白い。再読の喜びをたまにはちゃんと味わった方が良いですね。ウクライナのことから本の旅は加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』にたどり着いた(本の中で栄光学園の生徒が出てくるのだけど、中学のとき練習試合したなあと思い出した。めちゃくちゃ強くてまあまあな大差で負けた気がする。「頭も良くてサッカーも強いなんて不平等すぎるよ…」とぼやいた気がする)。日中戦争で、日本の中国への侵略を戦争だと認識していなかったのとかは今のロシアがウクライナに侵攻したことを考えるうえで必要になるかもしれない。この本スーパーおすすめ!読んだ方がいい。戦争とか本当によくないのだけれど、でもこの時代には気骨のある人がたくさんいたんだなあとも思いました。これでまた柄谷行人『世界史の構造』に戻っても良いかもしらん。そして、これらの記憶が確かなうちに小川哲『地図と拳』を読みたいのだけれど、なかなか図書館の予約順番が回ってこない。

朝井リョウの新作エッセイを読むことができる喜びは計り知れない。読んで心の底から笑っている本は朝井リョウのエッセイと和山やまの漫画だけかもしれない。漫画は魚豊『チ。-地球の運動について-』を遅ればせながら読み終えた。めちゃ良かった。あと、宮崎夏次系『あなたはブンちゃんの恋』がコミックデイズで全編無料公開されていたので、ざあっと読んでしまいました。突発的に爆発する感情がしっかりとモーションとして起こるのは漫画の演出としてだからということではないのが素晴らしく、美しく、悲しい。第1話にあるこの電話をするシーンが印象的なのだけれど、この感じとてもよくわかりますよね。f:id:You1999:20220823001518j:imageあなたはブンちゃんの恋 - 宮崎夏次系 / 第1話 あなたはブンちゃんのはじまり | モーニング・ツー (comic-days.com)どうして一か八かの電話をするときって、こんなわけのわからない格好をしてしまうんでしょうかね。わたしは本を読んでいるときなども、めちゃくちゃな体勢で読んでいたりするので、このむちゃくちゃな体勢なるよねえーと共感しました。

ドラマのこと。地上波ドラマは軒並み離脱してしまった。『初恋の悪魔』と『石子と羽男』は一応観ているには観ているけれども、一応観ているという感じであんまり熱中できていない(“初恋の悪魔”って『チェンソーマン』の世界だとどれくらいの強さなのでしょうね)。ので、『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』配信に合わせて、『ゲーム・オブ・スローンズ』を観ることにし、シーズン7まで観終えました。本当に今更なのだけれど、面白すぎて感動している!暴力の歴史の中に紡がれる物語のなかで、大いなる敵を前にして今まで争っていた私たちは、暴力の概念を排除していかに連帯できるのか、といった希望に思いを巡らせるながらも、結局のところ共通の敵を前にしてしか連帯はできないのか、という虚しさも残る。国家というものは外側に対してあるのだ。しかしまあ、北から迫るこれまでの暴力の歴史との戦いである。良いですね。ブランが時間の観測者の立場になる部分などは『進撃の巨人』も少しだけ想起するものがあり、海外の反応動画で「おい!これって『ゲームオブスローンズ』かよ!」と言っていたのがようやくわかりました。あと、『ゲースロ』の素敵なところは『ハチクロ』じゃないけれど、“恋をする瞬間”が映し出されるシーンがたくさんあるのがいいなあと思う。ジョン・スノウがイグリット、ティリオンがデナーリス、デナーリスがジョン・スノウとか。素敵な視線のすれ違い…!あとやっぱりドラゴンがカッコいいのでデナーリス応援しちゃう。バカみたいである。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』も少しずつ大切に観ている。ほんっとにキュートですよね。生活音としてサウンドトラックもよく聴いています。音楽はMåneskinと少女時代もよく聴いた。『I WANNA BE YOUR SLAVE』好きすぎる。ローマ出身のバンドということでボーカルのダミアーノはASローマのファンらしい。リッチだ。

ディバラがローマに移籍したので、ローマのことをしっかり追っているのだけれど、今シーズンはなかなか良いスカッドになっていて、モウリーニョの勝利(もしくは負けない)の哲学が植え付けられたチームにはとても明るい未来が待っているように思えるけれど、まだまだな感じも漂っている。ティモシー・シャラメも観戦に訪れて、モウリーニョと写真をパシャリしていたので、ブランドとしての価値もしっかりあるのだなあとしみじみ。シャラメにユヴェントスのユニフォーム着て欲しい…というかシャラメはチェルシーのキャップを被っていたこともあったので、元チェルシー監督としてのモウリーニョに会いに行ったのかな?

今年のセリエAはコロナ禍以前よりもスタジアムに観客が集まっているのでは…?と思えてしまうほどに雰囲気がとても良い。プレミアリーグの恐ろしいほどの各々のチーム戦力には及ばないのだけれど、暗黒期のセリエAに比べれば、インテルミランも復活してきて、ローマも補強をしっかりしている。ユヴェントスは思わずマルキージオに重ね合わせてしまうほどの天才現る…!といった感じのミレッティが愛おしい。まだ19歳ということに本当に震える。ユヴェントスはミレッティという宝石をどう活かすかというのが今シーズンの展望を占うといった感じだ。あとはキエーザの復帰とその後の調子がどうだか。最後の最後でパレデスもようやく決まりましたし、怪我明けポグバのオリジナリティも期待したい。移籍市場最終日の放出では、アルトゥールとザカリアをリヴァプールチェルシーへ。アルトゥールがリヴァプールというのは意外で驚きだった。がんばってね。しっかしユヴェントスはさー、ほんとにさー、ジョルジーニョヴェラッティを獲らなきゃダメだよー。イタリアを連れてこようよ。わたしはずっと言い続けるだろうけれど、デリフトとデミラルの壁はなんだったの。夢だったのでしょうか。なんだか途中でサッカーの話になってしまったけれども、Måneskin好きです。

Teatro d'ira - Vol. I

Teatro d'ira - Vol. I

Amazon
Flood

Flood

  • Secretly Canadian
Amazon

少女時代『FOREVER 1』聴きすぎて、ふとした瞬間に「FOREVER 1〜It's love It's love 〜」と発してしまうし、切り抜き動画もめっちゃ観ちゃう。少女時代のみんな無茶苦茶にテンションが高くて、観ていると無理矢理元気になってしまう。ユナとスヨンとテヨンを見てしまう。とくに「友達がいない」と目を泳がせる動画を見てからテヨンが好きです。ユナは超問題児だったんですね。最高ですね。スイカの種をプッと吐き出して顔にくっつける遊びなんて子どもすぎる。FOREVER 1 - GIRLS' GENERATION [Music Bank] | KBS WORLD TV 220819 - YouTubeリコリス・リコイル』を観ているからかなんなのか、この白い衣装のみんなに拳銃、ライフル、マシンガン、日本刀とか持って欲しいなとか考えてしまう。「It's love It's love 〜」のユナと真ん中を突き進んでくるテヨン無敵ですね。少女時代が5年ぶりのカムバックということですが、東京女子流も7年ぶりのフルアルバム『ノクターナル』をリリース。めちゃ好き。これもよく聴いた。Spotifyでは『Dear mama』再生中の背景画面がメンバーの幼少期の写真なのにとても感情的な気持ちになる。エモい。

久々に山戸結希『5つ数えれば君の夢』を観たのだけど、この時の新井ひとみの可憐さが凄まじくて圧倒されてしまう(首と手足が長い!)。8月は、というか8月も、なのだけれど、映画はあんまり観れていない。ギヨーム・ブラックもユーロスペースでしかやってないし、『ストーリー・オブ・マイ・ワイフ』ほとんどやっていなかったですよね。なんだか映画館の終焉を感じますね。ノア・バームバックによるドン・デリーロ『ホワイト・ノイズ』の映画化はNetflix配信だけれど、映画館でもやるのだろうか。チャーハン食べたいですね。『M-1』予選が始まりましたね。今年は金属に決勝行って欲しいですね!

【チャーハン】オフショット&メイキング映像【金属バット】 - YouTube

【パンプキンポテトフライ】単独ライブ即完!今注目の若手漫才師が大喜利で大怪我!?「何もしない」山名の闇を掘る【しくじり放送室】 - YouTube

2700八十島に何が起きた?頭の中で起きた爆発…芸人休業の真相を語る【前編】 - YouTube

オールナイトニッポン0ディレクター 三浦ノリタカ登場!青春すぎたラジオ生放送後の思い出や謎の経歴を語る! - YouTube

【祝!ラヴィット出演!】TV局へ連行する時にサビの無い曲を4時間聞かせて怒らせたい。【きしたかの】 - YouTube

Maya Hawke - Sweet Tooth (Official Music Video) - YouTube

Fazerdaze - Break! (Official Video) - YouTube

ユニクロのジーンズWALK篇 - YouTube 

【テレビに出ない⁉】小山田壮平に【LiSA】が感じるピュアと狂気と優しさと闇!? - YouTube

【ヨシダナギ × 大盛のぞみが旅について語る】UNPACK YOUR WORLD Presented by Samsonite - YouTube

【Vlog】元カフェ店員の堀田茜がキャンプ場でコーヒー作りに挑戦!【トップコート夏祭り2022 特別企画②】 - YouTube

【20万人記念PV】MajiでKoiする5秒前 - RYOKO HIROSUE / Covered by ラランド サーヤ - YouTube

Summer Eye / 求婚 MV - YouTube

某カルト宗教に入ってた兄と再会してみた【雑談】 - YouTube

【激レアさん】さらば森田は弘中アナが好き!/ 2022.8.8放送 - YouTube

【緊急座談会】ずっと見てたい、面白すぎる本気のフリートーク!林遣都×仲野太賀×松岡茉優×柄本佑「初恋の悪魔」第7話9月3日(土)夜10時! - YouTube

【勝利の女神】金川紗耶『キレキレのきつねダンスを披露』【札幌凱旋】 - YouTube

乃木坂46 30th 川﨑 桜 個人PV予告編 - YouTube

【AKB48】60thシングル!初選抜&初メンバー発表ロケ!ロングver【久しぶりのリップグロス】 - YouTube

Park Eun-bin answers 10 questions about Extraordinary Attorney Woo [ENG SUB] - YouTube

[릴레이댄스] NewJeans(뉴진스) - Attention (4K) - YouTube

Talk That Talk - TWICE トゥワイス [Music Bank] | KBS WORLD TV 220826 - YouTube

[단독샷캠4K] 트와이스 'Talk that Talk' 단독샷 별도녹화│TWICE ONE TAKE STAGE @SBS Inkigayo 220828 - YouTube

TWICE "BETWEEN 1&2" Jacket Shooting Behind the Scenes - YouTube

 

ソン・アラム『大邱の夜、ソウルの夜』

f:id:You1999:20220829181732j:image大邱の夜。家事のことも子どものことも何もかもすべてを押し付けられているのに、それに加えてつらつらと文句を投げかけられるホンヨンが大切な親友コンジュに会いに、息苦しい家父長的な夫の実家を飛び出す。ホンヨンは溜まっていた言葉たちをいっぺんに吐き出してしまって、コンジェはそれを聞いてくれるのだけれど、そうしてもスッキリすることなんてなく、夜が深くなっていくうちに、だんだんと心奥につかかったシコリが気にかかって、決して身体を軽くはしてくれない。本当にあっという間に至る所に転移してしまって、結婚とそれにまつわるあれやこれやは癌細胞のようである。癌細胞は「何らかの原因で正常な細胞になるはずの遺伝子にいくつもの傷がつくことで発生する」ものであるらしい。結婚して、子どもが産まれて、望んでいたのような家族になり得る未来もあったのだろうけれども、それは「何らかの原因」によって、正常な細胞とは異なった働きをして身体を蝕むようになってしまった(パク・チソンがシュートを外す様子にぼやいてソファーに寝転んでいる姿は未来の私であるかもしれない…)。しかも、その「何らかの原因」はほとんど明らかであるのに何故だか閉口してしまう構造はこの世界においてずっと屹立している。

大邱の夜に飛び出したホンヨンをコンジュは病院へと連れて行く。それはホンヨンが癌のような結婚生活に悩まされているからではなく、肺癌のために入院しているコンジュの母親に会わせるためだった。コンジュは母親が生きているうちに結婚をしたいのだという。あの癌細胞によって身体を蝕んで行く、あの結婚をだ。

ガタゴトという電車の音が静寂に響く。窓に映る自分はこの夜のなかでどう生きているだろうか。社会的な変革は長い時間を要するけれども、この夜の続きに理想的な朝はやってくるだろうか。夜は心地よく私たちの心を癒すが、その時間が長すぎると私たちの心を酷く痛めつけるのである。

都会を走る猫に名前はいらない

f:id:You1999:20220826155702j:image巷で話題のOpen AIが開発している画像生成サービス「DALL·E」に申請を送っていたのですが、ようやくメールが届き招待されたので、さっそく「A 1960s American magazine cover of kawaii cute cat in a headphone and sneaker」などとテキストを入力してみるとなかなか良い絵を描いてくれました!すごい!かわいい猫ちゃんですね。そんなことをしながら、まだ地面を踏んでいない新しいスニーカーを履いたままで部屋の中で過ごしている。海外の人だあ、と思いながら歩き回る。こんなことをしているだけで、ちょっとだけ楽しいの不思議だ。生活の一部を少しだけ変えて過ごしてみるの良いですね。

『おげんさん』を観る。藤井隆は最高。藤井隆が模写していた鈴木杏樹といっしょに歌って踊っていた。Night Tempoさんは藤井隆から「学生さんです!」と紹介されていた。『あいみょんオールナイトニッポン』をタイムフリーで聴く。友達の結婚式で歌った話をしていた。

新しい丼旅バラエティ! 森田・盛山・屋敷の仲良し芸人3人組 サンバリュ『ご当地丼カーJAPAN』を観た。ぶりぶりの伊勢海老とか食いまくって、わちゃわちゃ楽しそうで何よりだった。森田と屋敷が2人で楽しそうにしていたので、BKBがめちゃくちゃ嫉妬していそうだ。みんなが海鮮をバクバク食べているのを観て、『雪女と蟹を食う』

を頭に思い浮かべてしまった。どうせ死ぬのなら、これまで生きてきて食べたことのない蟹を食ってから死のう!と決意し、北を目指す主人公の物語なのだけれど、とうとう蟹を食べたときに、「あ、俺あんま蟹好きじゃないな」と思ってしまったら、それでも納得して死ねるのかなあとわたしはずっと気になっている。実写ドラマ化がこの夏放送されていますけど、重岡大毅マジでハマり役ですよね。『炎の体育会TV』で天心と戦っていたので、ボクシング映画の役もきちゃいそうだし、それもよく似合いそう。

映画のこと。久しぶりに結構観たいのがある月で、ギヨーム・ブラック『みんなのヴァカンス』、アレックス・トンプソン『セイント・フランシス』とかどこでやっているのかなあ、と調べてみると、上映館が少なすぎて結局諦めることになる。どうせ観られないのなら、早く配信にしてほしいと思ってしまう。仕方がないのでウィリアム・ワイラー『我等の生涯の最良の年』観る。ずっと観ようと思っていたけど、その長さに重い腰が上がらなかったのだけど、今読んでいるポール・オースター『サンセット・パーク』

に出てきて、アリスとエレンがこの映画について話す描写につられてみることにした。

たとえば、息子が寝支度するのを父親が手伝う場面。
ハロルド・ラッセル、戦争で両手をなくした兵士。
息子は一人じゃフックを外せない。パジャマのボタンも留められない、煙草も消せない。父親が何から何までやってあげなくちゃいけない。私の記憶だとあの場面には音楽もなくて、科白もほとんどないのに、全体でも指折りのいいシーンよね。少しも嘘がなくて。心底感動させられる。p105

廃屋に暮らす若者たちが諦念に近い感情を持ち合わせながらも、ちゃんと未来のことを考えている。寝る前にちびちび読んでいるので、なかなか読み終わらない。『鎌倉殿』を観る。もう悲劇しか待っていない物語なので、ずっと悲しい。

『鎌倉殿』っていうのはね、つまるところ『ゲーム・オブ・スローンズ』なのだよ、ちみ、ちみちみ、と誰かの声を聴いたので、『ゲーム・オブ・スローンズ』を観始めたのだけれど、めっちゃ面白いですね!とりあえずシーズン4まで観終えました。

Rose Leslie & Kit Harington | Cutest Moments And Interviews - YouTube

悲劇ばかりの世界で、ジョン・スノウとイグリットのカップルの幸せだけを願っていたので、離れ離れになって最後はジョン・スノウの目の前でイグリットが死んでしまうという結末にスーパー鬱になっていたのだけれど、「ジョン・スノウ/イグリット」で検索したら、現実の世界で2人が結婚している画像が出てきて…!歓喜に震えました。よかった。

洞窟を覚えてる?出るんじゃなかった…
また行こう
何も知らないね、ジョン・スノウ…

いけますよね…あの洞窟に…結婚してんだからねえ…ジョン・スノウは何も知らないけれど、空っぽな正義を掲げ続けられるのが良い。哀れな理想主義者なのかなあ。でもカッコいい。『ゲースロ』では、権力を持った男がみんな弱い。その弱さのために卑劣なことをしたり、争ったりするわけだけれど、一方、デナーリスの物語は強き人がパワーとしてではない権力を持つまでにいたる物語なので、そりゃあエンパワメントするよなあ、と。奴隷を解放し、当然のものとしてある自由を与えていくという。ポール・オースター『サンセット・パーク』のあとがきに「そもそもオースターの小説にあっては、人はすべてを失って初めて自分が何ものかを見出す機会を得るという前提のようなものがあるはずだ…」とあるのだけれど、まさしく『ゲーム・オブ・スローンズ』がそうですよね。まだまだ5シーズンもあるの嬉しい。首を斬られるシーンを観て、自分の首を触りながらソワソワするのが続くのだ。ジョフリーがカスすぎて、演じている俳優さんは気の毒だ。ジェイミーはサウジアラビアのサッカー監督みたいですよね。

アーセナルボーンマス戦。ジェズスが上手すぎてキモいので、ジェズスやばすぎーと毎週言うことになってしまう。ジンチェンコも流石すぎるし、サリバもファン・ダイク級の選手になるのだろうし、みんなすごすぎ。アーセナル強い。アーセナル観ていて楽しい。

ユヴェントスサンプドリア戦。アーセナルの試合を観てから、ユヴェントスの試合を観ていると本当に情けない気持ちになる。なんでこうもなにもデザインされていないのだろうと同じスポーツとは思えないほどに落胆してしまう。残念すぎる。アッレグリの体たらくにはもっと怒ってもいいんじゃないでしょうか。最悪すぎるよ、ちょっと。あと、カンナバーロがポグバに対して、「髪の毛のこと気にしすぎ、サッカーに集中しろ」みたいな批判をしていたようだけれど、いや、でも、カッコいいひとであり続けて欲しいでしょ、と思いました。まあ、ユヴェントスはソルジャータイプの戦士が好まれるのだろうけれど。ゴージャスポグバ早く戻ってきて欲しいな。

リヴァプールはユナイテッド戦。ちょっとみんな大丈夫かって感じに燃え尽き症候群が漂っている。なんだか覇気がない。怪我人が多いとかそれ以前の感じがする。みんなでヨーヨーしたりしてチームの和を取り戻したりしたほうがいいんじゃないとさえ思えてくる。カナメストーンのヨーヨーめちゃくちゃ楽しそうすぎるのを見てから、一家にひとつヨーヨーあってもいいんじゃないかと思えてきている。楽しいぃ…!懐かしのハイパーヨーヨーで遊ぼう【カナメストーン】 - YouTube なんなのよこいつら…とため息が出てしまうほどに、めちゃくちゃ楽しそうでキラキラしている。ヤーチーがちょっかい出して、トミネが怒るの最高。Faye Websterのヨーヨーがついこの前にリリースされたけど、これもいいですよね。f:id:You1999:20220823012116j:image『I Know I'm Funny Haha』デザインの箱かわいい。Faye Webster、グッズ全部持ってきて日本に来て欲しいですね。ツアーにMaya Hawkeが参加している動画とか見ているとほんとに来ないかなあと堪らない気持ちになってくる。LE SSERAFIMが日本に来た動画にやっと日本語字幕がついたので観る。[FIM-LOG] in JAPAN #1 ✈️ l 설렘 가득 공항 출국길부터〰️📹 심야 편의점 2차전까지🍙✨ - YouTube ちょっとさー、ほんとウンチェはさあ…って感じ。いま個人的なかわいいランキングトップ3は、ウンチェ、ウ・ヨンウ、トミネレイですね。同じものを買うから、LE SSERAFIMがコンビニで買ったものをリストにおこしてほしいですね。コンビニの食べものってそんなに美味しいのですか?

ときに、V LIVEからWeverseに移行しているけども、Weverse日本語字幕がつかないようだから本当に最悪なのだよなと思っているのですが、この移行って何なのですか?会社が買収されて、ファン体験を拡張するために進化するらしいけれど、いまのところ良くないと思ってしまう。

特集:しまおアワー8月号!ここがへんだよ⁉︎日本の夏‼︎熱“烈”座談会‼︎

open.spotify.com

を聴く。わたしの毎月の最も楽しみにしていることはもしかしたら月刊しまおアワーかもしれない、とふと思う。毎回楽しいもんね。しまおさんの跳躍思考回路アイデアにとても笑ってしまうし、なんだか幸福な気持ちになれる。

水曜日のダウンタウン』「鯉のエサ 消費量No. 1決定戦」を観ながら、おばあちゃん家の池に昔、鯉がいたなあと思い出した。小さい頃、エサをあげたり(ビスケットを割って投げたり)していたけれど、いつのまにかいなくなったなあ、と。3匹くらいいた気がする。お金持ちとかじゃなくて、田舎すぎて池があるのです。いまは何もいなくて濁った水溜り。

『ラヴィット』木曜日。ゲストに矢吹奈子本田仁美。VTRでIVEインタビューもあって、とっても豪華だった。ちょっとした疑問なのだけど、K-POPアーティスト見るときって1回目は画面を直視できないですよね?なんとなく照れて、目を逸らしてしまう。そのあと2回目、3回目でようやっとちゃんと見る。IVEオススメのはやい物は?と聞いた時に、屋敷が「なんでIVEに聞くねん」と言っていたのにめちゃ笑ってしまった。そのあとのクールポコ。の高速餅つき、ニューヨーク嶋佐マジックなどが続く『ラヴィット』の緩急よい。IVEが出ていた番組とは思えないものに時間の経過と共になっていく。

『夜会』も『ラヴィット』。麒麟・川島、ニューヨーク、見取り図。もうわたしの中ではテレビ=『ラヴィット』になりつつある。『ラヴィット』しか観てない。UEFAチャンピオンズリーグ抽選会を観る。カプセルを開けるヤヤ・トゥーレがぎこちなくて可愛かった。ユヴェントスはPSG、ベンフィカマッカビ・ハイファというグループリーグ。なんか余裕で突破できそうな気もするけれど、ベンフィカというのがなかなか絶妙にに怖い。

おぎやはぎのメガネびいき』を聴く。録音放送回だからか、2人とも元気な感じがする。『あいつ今何してる?』をきっかけに昔の友人たちと会った話をする小木さん。みんな昔のことをよく覚えていてすごいなあ、とニコニコ話すの良かった。「10年ぶりに彼氏ができました!」というメールに「良かったねえ、報告してくれてありがとう!」と答える小木さんも良かった。ハライチも爆笑問題も乱入してきて、豪華でしたね。

『poplifethepodcast』猫と生活回にはOKAMOTO‘Sからオカモトコウキがゲストに。ほんとやさしい声ですね。素敵です。

open.spotify.com

動物と関わるうえでの人間のエゴというところでは、【コミックDAYS読み切り】矢野満月『シビは寝ている』を思い出したし、オカモトコウキの「入れ替えせいで常に猫が2匹いる状態の家を保つのもいいんじゃないか」と考えたこともあるというところでは、今村夏子『あひる』を思い出しました。わたしも将来、絶対いつかは猫を飼ってみたいと思っているので、とても楽しい回でした。この座組みにオカモトショウも追加して、ぜひ小説、漫画回やってほしい…!

猫いいよなあーと思っていたら、TWICEの最新MVにも猫が映り込んでいた。TWICE "Talk that Talk" M/V - YouTube このビデオのモチーフは1984年に放送された初代MacのCMらしい。たしかに完璧にオマージュされたシーンが最後にありますね。初代MacのCMがオーウェルの『1984』が示唆するような監視的、閉塞的なものとは違ったインターネットの形を提供します、ということであったのらしいのだけれど、TWICEのビデオではそこに猫を登場させているのがなんとも皮肉というなんというか。犬ほどの従順な存在ではなく、むしろ自由気ままな在りかたをしていたのに、今や室内に軟禁されているという。わたしたちもまたインターネットによって、自由に外側へと拡張しているように思えているけれども、結局のところインターネットの内側でがんじがらめになって、ストレスに苛まれている…人々は相互監視に躍起になっている、と。緩やかなオーウェル1984』に戻りつつある社会にオルタナティヴはどう想像できるでしょうか。わたしたちはインターネットに飼われている猫ですね!

金曜ロードショーで『耳をすませば』を観る。ここでも猫だ。美しい話すぎて、もうつらい。施川ユウキさんのコラムがベストすぎるので、ぜひ読んでみてください。

竹書房4コマコミック総合サイト | 4コマ堂 » 施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第3回 耳をすませば4koma.takeshobo.co.jp

このコラムに書いてあることがどの感想よりも素晴らしいと思います。

DVDを購入し、何十回と繰り返し観ている。反復しすぎた結果、心のバリが取れたというか、良くも悪くもざわつきはなくなっている。今では主人公である月島雫に全身全霊で感情移入して観ることができる。僕は女子中学生として、男子中学生である天沢聖司に恋をするのだ。そして天沢が雫にプロポーズするラストで、私(月島雫)は思う。今がこの恋のピークなのだと。彼がイタリアで修行しているあいだに、少しづつ気持ちは落ち着いてしまうだろう。この瞬間を超えるときめきは訪れない。初恋とはそういうものだ。遠距離で今の関係を維持し続けるには、お互いの粘り強い努力がいる。そんな自信、私(月島雫)にはない。……切ない映画である。ある意味僕は、女子中学生として恋も葛藤も経験してしまった。飽きるほどに。でもそれは本物ではない。だからまた再生ボタンを押すのだろう。何が言いたいのかというと、僕の暗い青春時代の話はもはやどうでもいいということだ。

 

 

AMAZON PRIME ORIGINAL『ALL or NOTHING: Arsenal』

f:id:nayo18858:20221103120050j:image昨シーズン、2021-22シーズンにおいて、最もプレミアリーグを楽しませてくれたチームとしてまず挙げられるのが、40歳という若き壮年監督、ミケル・アルテタ率いるアーセナルだろう。彼にとっては3シーズン目となる重要な年であった。1億4500万ポンド(約235億円)を投じる大型補強をも敢行し、サカ、スミスロウなどといった若き才能との融合をはかりながら、昨季の雪辱を果たすことを目指していた。アーセナルというチームは偉大でなければならない。ヴェンゲル政権時にはプレミアリーグ無敗優勝を成し遂げるなど、チャンピオンであり、無敵であった。しかし、いまはチャンピオンズリーグにも出られない、ヨーロッパリーグにも出られない。そんな情けなく没落したチームを応援するサポーターのためにクラブは応えなければならない。

ロンドン北部、イズリントン区の上空から大勢の人々が何かを目指し歩いている様子が撮らえられる。そして、スリーカット目、煌びやかに街を照らすエミレーツスタジアムのショットが映し出され、「熱き思いで突き進む。それが情熱だ。君たちの情熱と決意の程を観客に見せてくれ。前に出て攻め込むんだ。勝つと信じてプレーしろ」とアルテタが赤き情熱のユニフォームに袖を通した選手たちを鼓舞する。胸のエンブレムには王室兵器工場のチームとしてのルーツを持つ大砲が、シンボルとなって描かれている。選手たちは叫び、ロッカールームを飛び出していく。AMAZON PRIME ORIGINALの人気シリーズである『ALL or NOTHING』、そのアーセナル編が公開された。

〈エピソード1〜3〉

新型コロナウイルスの感染拡大によって、理想的なスカッドを組めないクラブが存在することになってしまったシーズン幕開け。しかし、試合日程は動くことなく鎮座し、クラブは痩せ細ったままで、ピッチに立たなければならない。それが開幕戦となれば、さらに最悪である。そう、そんなひどい状況でシーズンを始めなければならなかったのが、アーセナルであった。開幕戦は、ブラントフォード。おそらくすべてが万事整っていれば勝てる試合のはずだっただろう。しかし、コロナ禍の為にオーバメヤンとラカゼットが欠場、トーマス、マガリャインスといったボランチとCBの一角も揃わず、EURO帰りで疲労していたサイドアタッカーであるサカもベンチからのスタートとなった。貧弱なチームはその非力な身体のままであたふたし、0-2という新シーズンへの期待感に包まれた心を打ち砕かれる惨敗劇をサポーターに披露してしまう。そして、チェルシーマンチェスター・シティ、といった強豪に勝ち点を献上し、変革をもたらすシーズンのはずが、最悪な3連敗からのスタートとなる。順位表はもちろん最下位に。

サカ、スミスロウ、ホワイト、ウーデゴール、ロコンガ、タヴァレスなどといった若手主体のチームづくりを目指すアーセナルは、移籍期間終了間際に今シーズン極めて重要なテコ入れを成し遂げる。ラムズデールと…

移籍市場が終わる直前、もう1人選手が加入…

我らが日本代表・冨安だった。この2人を早速スタメンに並べたアルテタは、ロッカールームで演説を開始する。このドキュメンタリーシリーズはアルテタのモチヴェーターとしての役割がいかに偉大であるかを示すものともなっている(エジソンの電球についてを、実際に電球を光らせながら話すのにはめちゃ笑ってしまった)。声に力を込め、選手たちの魂を震わせる。「3連敗からの14日間、1から10で表すと、俺はここにいたんだ」とボードに書いたグラフを指し示す。グラフよりももっと下、0よりも下を指差して、ドン底よりもさらに下であったことを吐露する。しかし、もはやその状況からは脱したことを宣言する。

死んでたのさ、怖かった、不安だった。マスコミに叩かれて。でも突然、前向きになれた。家族のおかげだ。妻に3人の子どもがいる。オーナーをはじめ、クラブも支えてくれる。
でも1番の理由は…ここから上がれたのは…君たちのおかげだ。君たちのおかげでハッキリした。なぜ監督をやりたいのか、なぜサッカー界にいたいのか。
だから心の底から言いたい。君たちに感謝している。苦しい時を、私のサッカー人生で最上の時に変えてくれた。自分自身を信じろ。この苦境を君たちのせいにはしない。責任は私が負う。いくぞ。

ノリッジ戦で先発を果たしたこのキーパーと右サイドバックの2人はチームを安定させ、勝利に導く活躍をおさめる。観客席の上の方から心配そうに見つめるラムズデールの家族の様子が印象的であった。しかし、冨安のシーンがあまりに少ないことは感じずにはいられないでしょう。勢いを取り戻したチームは勝利を重ね、ノース・ロンドン・ダービーでも3-1快勝した。それは紛れもなくマン・オブ・ザ・マッチ級の活躍を果たした冨安の貢献が大きかったはずであるのに、彼を映し出すショットがあまりにも少ないのは甚だ疑問を感じずにはいられない(ミスシーンを多く使われている気もしてしまう)。しかし、なによりも個人よりクラブが重要であることは自明である。アーセナルは勢いを取り戻したのだ。Status Quo『Rockin All Over the World』を腕を振り上げながら歌い、歓喜に酔いしれるチーム状況は1から10で表すと、もはや10に近いところまできたといって良かったかもしれない。破竹の勢いで順位表を駆け上がるアーセナルの選手たちがアルテタから、2日のオフをもらって、みんなで雄叫びをあげるシーンはまさにサッカー部のそれであって、めちゃくちゃ微笑ましいシーンである。プロでもそうなのだなあ、と共鳴してしまう。

エピソード3では、ミスがつきまとうサッカーというスポーツにおける不安感や異なる地域への適応への困難さ、労働者階級の街の人々の暗部に接する心模様、ネガティヴなSNSの声との距離の取り方など、メンタル面でのコンディションの整え方の苦労をも映し出されている。EUROでPKを外したサカへの心ない声やそれをケアするサポーターの言葉、濃厚な密度で毎週過ぎ去っていくゲームのなかで、心を持った人間がプレーしていることを忘れてはならない、とドキュメンタリーは啓蒙する。人間と人間の関係なのである。そうであるから、クラブのなかでも当然、不協和音は起こり得る。監督とチームキャプテンという最も強固にしておかなければならないはずの間にでさえもだ。

〈エピソード4〜6〉

幾度もの遅刻などによる規律違反を横行するチームキャプテンであるオーバメヤンとアルテタの確執はもはや看過できないものとなっていた。

あんなに給料をもらっているのに…

という溜息混じりに発せられた台詞を記録におさめたことがドキュメンタリーシリーズとしての価値を高めているだろう。オーバメヤンの問題行為の数々はすべて記録してあるという事実は恐ろしくもありました(ドキュメンタリー配信後日、監督記者会見でネタにされてましたね!)。エピソード4〜6はオーバメヤンとの不協和音が通奏低音として悩ませながら、毎週のプレミアリーグに取り組むクラブの様子が映し出される。この中盤エピソードにも入ってくると、冨安をとらえたショットが増えきているようにも感じられる(チームの一員として認められたから?ドキュメンタリーシリーズのスタッフから?という疑問は残りますね)。

とてつもなく重要な一戦、マンチェスター・シティとの試合のロッカールームにアルテタはカメラを通じて、自室から選手たちを鼓舞することになってしまった。コロナ陽性となって自宅隔離を強いられたからだ。もちろん、スタジアムのサイドラインで声を張り上げ、指示を出すこともできない。しかし、選手たちは異彩を放つ若きアスリートであることを証明するように、ピッチ上からアルテタが見つめるテレビ画面へ向けて、今シーズン極めて眩い輝きを放ってみせる。先制点を上げ、もしかして勝利しスリーポイントを持ち帰ることさえ可能なのではないかと思わせてくれるほどであった。

そんな期待感がたった一瞬のうちに崩れ去るのがフットボールというスポーツの残酷さと面白さである。ジェズスの狡猾な反転から、マガリャインスが咄嗟に飛びつき、倒してしまう。同じ母国ブラジルのために戦い、ガブリエウという同じ名前も持つ2人に明暗が分かれる。レッドカード1枚の重みがアーセナルの勢いを削ぎ、引き分けを目指す戦いへのシフトを強いられる。マンチェスター・シティは完全にハーフコートに相手を押し込み、アーセナルは揺さぶられ、揺さぶられ、最後の最後でゴールを許してしまう。チャンピオンになるチームと今はまだそうではないチームとの見えない壁が選手たちの目の前には見えていただろうか。それでも、アルテタは「君たちは誇りに思う」と画面越しに伝えたシーンは感動的である。だが、あのレッドカードがなければ…ということは誰もが脳裏によぎっていただろう(しかし、狡猾で俊敏なジェズスは2022-23シーズン、アーセナルに所属することになっているのだ!しかも大活躍している…最高!)。

アーセナルにおけるレッドカードのシンボルはそのままグラニト・ジャカを想起させる。過去4度のあまりにも無茶なタックルによって、退場祭りを繰り広げ、試合を壊した男はサポーターからも確かな信頼を得ることができず、口論することも何度も。関係はとても良いとは言えなかった。サカ、ラカゼットと口論し、家へ帰宅してしまうシーンなどもドキュメンタリーには映し出されている。このシーンの彼の印象は最悪そのものだろう。しかし、ジャカはサッカーをしているときの自分とそうではない自分とは気性が異なるのだと弁明するように、家の中では子どもへ優しい眼差しを向ける父親であることが映し出されれば、むーん、と唸ってしまわずにはいられなくなってしまう。カメラは裏側にレンズを向け、人間の複雑性と多様性を映し出す。その内面に触れ、選手個人の愛おしさを知っていくたびに、アーセナルというクラブをさらに愛してしまえる、好きになってしまえるのだ。ドキュメンタリーシリーズの恐ろしさである。

愛するクラブに4年も所属していた愛する選手の別れがこんなにも不本意な関係で幕を閉じるのが残念であるのだけれど、通奏低音として鳴り響くオーバメヤンとの亀裂音、その修復をするために、なんとしてでも別れを1月の移籍市場で決定させることがなによりもこのクラブの持続性において必要不可欠だった。うまいこと移籍先クラブが現れず、頭を悩ませた半年間が急転直下、動き出し始めるのが、オーバメヤンらしい自由な行動によるものであったのが面白い。

バルセロナにいる」
「誰が?」

というクラブ陣営の素っ頓狂なありさまが面白い。ギリギリでの契約解除を成し遂げたディレクター・エドゥの誇らしげな顔は、2022-23シーズン、ジェズスとジンチェンコを獲得するときにまた見ることになる。

エピソード4〜6で個人的に好きだったシーンは、ラカゼットに「これはなんだ?どこがいい?」とスニーカーについて尋ねられたスミスロウが、厄介な先輩に絡まれた下級生のような立ち振る舞いをしながら迷惑そうに困惑していたところだ。あの苦笑いを浮かべながらオドオドしてしまうスミスロウめちゃ可愛かったですよね。

アーセナルは順位表の4位に位置し、「応援してきてよかった」とサポーターからも好意的な言葉が飛ぶ。CL出場権をかけたギリギリの戦いを強いられるが、しかし、オーバメヤンを失ったCFの陣容は手薄であるし、怪我人も多数出てくる。プレミアリーグではクライマックスに圧倒的にドラマチックな展開が毎シーズン用意されているのだ。

〈エピソード7〜8〉

トロフィーを持ったアルテタがクラブスタッフとともにカメラの前に立つ。「月間最優秀監督賞」を受賞したのだ。記者会見で「サポーターのおかげだ。サポーターの皆さんがチームを変えてくれた」と話すアルテタに記者から冗談が投げかけられる。

「呪いに気をつけて」
「何に?」
「監督賞の呪いだ」
「どんな呪い?」
「次の試合で負ける」
「なるほどね」

4位を堅持するために、もう負けることは許されない、アーセナルのシーズン終盤戦が始まる。記者会見で微笑んで応対していたアルテタに呪いが現実となって降りかかるのは、ジンクスというものの不気味さを確からしくしてしまう。クリスタル・パレスに0-3の敗北を喫すると、パーティも冨安もティアニーも怪我という絶望的な台所事情がさらに勝利を遠ざける。アルテタはベンチを温めてきた選手へ期待するが、続くブライトン戦でも意気消沈した大人しいチームはガッツを見せることなく、4ヶ月間ではじめての2連敗を経験し、サウサンプトンに負けて3連敗目を積み重ねる。オーバメヤンが抜けた手薄なCFの代わりになりきれないエンケティアの背中に重圧がのしかかる。いずれチャンスは来るというけれど、ここまでの同時に結果を求められるチャンスというのはなかなかに酷だ。

3連敗の後のチェルシー戦、試合後のロッカールームでは、歓喜の雄叫びをあげるエンケティアの姿があった(むちゃくちゃ良いシーン!)。2得点を決め、チームに勝利を呼び込んだのだ。6位にまで落ち込んだチームの喪中期間も明け、再びCL権への希望が見え始めてきた。その希望を確信に変えるためにも必要なマンチェスター・ユナイテッドへの勝利を、エルネニーの献身性やジャカの華麗なミドルシュートによって手繰り寄せてみせる。再び4位まできた。残りを全部勝てば勝利となるが、もう負けられないプレッシャーは計り知れない。ラカゼットが練習でチームメイトと争いを起こすシーンは、シーズン後半戦、彼がピッチに立つ時間を減らしていったことの証左となるだろうか。ホワイトを怪我で欠くなか、ホールディングが出場して見事にゴールを決める。インタビューに答えるホールディングを見ていると、本当に超超超いい奴なんだろうなあ〜と観ている側もニコニコしてしまう。インタビュアーからは「あなたはとても幸せそうに見える」なんて言われてしまっているのも善人の印象をより強固にする。

ノース・ロンドンは永遠に
天気がどうであれ
ここは俺たちの街
我が心はこの街を離れない
俺の血は永遠に
石畳の間を流れる

エミレーツ・スタジアムに響き渡るルイ・ダンフォードの歌声による援護を受けリーズに勝った。次節、トッテナムとのダービーに勝利すればCL権は確実になる。両サポーターは挑発しあい、スタジアムにはたくさんの警備員が待機する。CL権をかけたノース・ロンドン・ダービーは33分、爆発的なスプリント力とパワーあるドリブルを兼ね備えたソン・フンミンにうまく対処できない超超超いい奴ホールディングがレッドカードを提示されてしまうことで、もはや決定的となる。ハーフタイムのロッカールームで、毎試合、声を枯らしながら選手を鼓舞し、後半へと送り込んできたアルテタも囁くようにチームを宥めることしかできなくなってしまう。

今日が最後じゃない
あと2試合ある
それを忘れるな

残りの2試合を勝てばいい。しかし、ただでさえ、選手層の薄くなったチームにレッドカードによるホールディング出場停止も重なる。災難だ。

結果を出せると思っていた。
勝てるってね。
CL出場が懸かっていて、緊張していた。
未経験の大会だし、だからしくじったんだと思う。

ラムズデールは回想する。若手主体のチームは、“ここぞ”という場面での経験が足りていなかったのだろうか。兎にも角にもエピソード1でのアルテタのスピーチ、「熱き思いで突き進む。それが情熱だ」という意気込みが感じられないロッカールームやクラブハウスが画面に映し出される。つづくリーグ戦でも、ニューカッスルの幅をとった戦術に苦しめられ、サイドに開いたサン=マクシマンに遅れてチェックをかけた瞬間に緩急によって剥がされるという展開は、怪我明けの冨安にはキツいものがあった。ニューカッスルは冨安をベンチへと追いやることに成功すると、その左サイドからクロスを供給し、ホワイトのオウンゴールを誘発し見事に先制点をあげてみせる。アーセナルギマランイスへの得点も許し敗北すると、4位でシーズン終える可能性はほとんど消滅してしまった。ピッチから引き上げた選手たちの悲壮感漂う顔はさすがにしんどい。お通夜ムード。

外への対応は任せろ。
君らを擁護するのは難しいが私が責任を取る。
心配するな

というロッカールームでのアルテタの皮肉もなかなかキツい。「もっとできたんじゃないか。でも引きずるのは良くない。今シーズンはよく頑張った」とホワイトが言い、「あと少しで達成できたのに、結局、手が届かないで終わりそうだ。失望したよ。でも、ニューカッスル戦の結果を変えることはできない。僕らの力が及ばなかった理由は多々ある。今は他のチームの結果を待つしかない」とジャカが言う。そして、最後の最後でようやく冨安のインタビューシーンが!!!ホワイトとジャカがもう可能性は潰えただろうと発言するなか、

まだCL出場の可能性はある。
あとは祈りつつ、勝ち点3を取るしかない

と言及する冨安が素晴らしい。勝ち点3を是が非でも掴み取るために、最終節、アーセナルエヴァートン戦でゴールを積み重ねていく。来シーズンを期待させる、選手たちが楽しんでプレーしているのがよくわかる試合であった。

夏になって振り返ってみれば分かるはず、大チャンスを逃したけど、進歩できたシーズンでもあるって。

ラムズデールは語り、

君らは私やクラブが時に犯す過ちも受け入れて、まとまってくれた。本当にありがとう。

とアルテタは感謝を示す。開幕3連敗、最下位から4位までの上昇、そして、ギリギリでのCL権の座を献上してしまったドラマチックな展開で、今シーズン最も楽しませてくれたアーセナル

目標が叶わなかった悔しさは、これから長い間、心の中に残るかもしれない

ともアルテタは語った。優れた物語には悲劇的な挫折は付き物で、その悔しさがチームを逞しくし、最後の最後で階段を駆け上がるパワーを与えてくれるのかもしれない。アルテタが率いる若きチームはまだまだ歩みを始めたばかりである。ロッカールームでアルテタがスピーチする最後のシーンで映し出される選手たちの顔を見れば、アーセナルの未来は明るいものだと思えてくる。昨年2021-22シーズンで悪夢の3連敗を喫したチームは、今年2022-23シーズンでは熱き思いで、前に出て攻め込む、美しいサッカーを表現し、18年ぶりの3連勝スタートダッシュに成功した。今年こそは…と夢を見てしまうのだけれど(今年のアーセナルほんっっっとに強すぎるのです。ジェズスやばすぎー)、しかし、まだシーズンは始まったはがりであり、まだまだ先は長いのだ…と忠告が必要だろうか?

IVE『I’VE SUMMER FILM』

f:id:You1999:20220818173859j:image生い茂る緑の中を6つの淡く可憐な白が通り過ぎるのを草木の隙間から垣間見る。夢のような柔らかで朧げな情景を目の当たりにしながら、その先に“連帯”といった確かな希望を見届けることさえできるのかもしれない、と思わせてくれるところまで膨らんでいく、韓国の若手作家、チョン・セランとコラボレーションしたIVEのSUMMER FILMが公開された。美しい映像とページをめくるような素晴らしい音楽にのせて、テキストがIVEによって読み上げられていく。

君が笑っていない時
何を考えているのか気になる

君といれば何も怖くない

私たちが喧嘩して泣いてしまう時は本当に憎いけど
そんな時でも君を傷つけたくない

時々君になりたいみたい
君が凄く輝いているから

ずっと一緒にいさせてと願うよ
君と出逢ってから私の願いは
その一つだけ

海をローケーションにしたユジンのシーンから始まり、つづくリズのシーンでは雨が降っているなど、水の循環をイメージさせながら、“繋がっている”という印象を物語に与えていく。列車を使った映像的興奮は作品の品質を高める素晴らしいシークエンスだ。「わたし」と「きみ」の関係を軸にした物語を積み重ね、あなたといれば夏が素晴らしいものになる、世界が変わる!という、いわゆる「セカイ系」とも取れる話となっているのが美しい(チョン・セランは初期にSFを書いていますね)。

君といれば夏が全然違う

テキストを担当したチョン・セランは「皆がつながっているという感覚と、連帯への意識を回復させようとする姿勢がある」として評価された『フィフティ・ピープル』を書いている作家であった。51人*1のも人々がそれぞれの人生を歩んでいく様子を描き、「主人公がいないと同時に、誰もが主人公である物語」を目指した。市井の人たちの機微が折り重なり、編まれ、世界を構成するのだというような、「セカイ」を意識するのは彼女の作家性としてもあるのかもしれない。日々すれ違う人々といかにして連帯していくことが可能になるのか。たったいま目の前にいる「きみ」と「わたし」の関係がセカイへとどう接続していけるのかという問いは、現在の社会問題を接近し、そしてガールクラッシュを緩やかに新定義していくことも可能にさせるかもしれない。

世界を、時間と空間を颯爽と跨って走って跳躍してしまえば、「きみ」と「わたし」の世界は拡張され、また別の世界と結びつくだろうという、時をかける少女レイが走るシークエンスはこのムービーの白眉であるだろう。レイは時間を駆け抜けながら、ユジン、リズ、ウォニョン、ガウル、イソの世界を横断し、IVEを形作る。6人が手を繋ぎ、草原を軽やかに躍るとき、最後に放たれる言葉が「忘れないで」というのもまた、過去を振り返るものとしてある青春という記号をより強く印象付ける。

忘れないと約束して
私たち6人の夏を

これから描いていくものではなく、そうして出来上がるだろう未来のことを、もっと先の未来から過去へと眼差して、忘れないで、と約束する。「きみ」と「わたし」の輪郭がぼんやりとしていき、夢の中に沈んでいくようにページは閉じられる。時間は残酷に過ぎ去っていくけれど、このサマーフィルムはあなたと何度も出逢い直し、大切で美しい世界のことを思い出させてくれるのだろう。

———いつか、だれかすばらしい人物が、わたしの前にあらわれるような気がする。その人は、わたしを知っている。そしてわたしも、その人を知っているのだ……。
 どんな人なのか、いつあらわれるのか、それは知らない。でも、きっと会えるのだ。そのすばらしい人に……いつか……どこかで……。

筒井康隆時をかける少女』114頁

I'VE SUMMER FILM - YouTube

*1:仕上がってみたら50人ではなくて51人になってしまったのだという