昨日の今日

KINOUNOKYOU

お笑いとテレビと映画と本と音楽とサッカーと…

自転車を追いかけた

f:id:nayo18858:20221103115824j:image自転車に乗るアダム・ドライバーはかわいい。『ハウス・オブ・グッチ』を観た。映画は100分で終わらせてほしいと常々思っているのだけれど、本作(159分)みたいに長くても良い映画はあるし、これは長くなくてはいけない映画だ。しかし、『ノー・ウェイ・ホーム』の148分は本当に良くないと思う。そう、『ハウス・オブ・グッチ』なのだけど、バイクの前に立ち行先を塞ぎ、ボートに乗り海という逃げ場のない空間へと誘い込み、さらにはお風呂(水)の中へと引っ張ってしまう。水のように内部へと浸透してくるパトリツィアであったのだけれど、愛が冷え込むに伴って水が雪へと変化してくると、彼女の水の効力は薄まってくる。マウリツィオはバイクに乗って逃げ、かつての仲間たちと再会する。そこにやってくるパトリツィア。このときの雪山で赤を纏うレディー・ガガに震えてしまう。そして、この“赤”は“グッチ”との繋がりを維持しようとするための“血”であり、また最終的には報復のために流される“血”であるのだ。前半と後半の繰り返しによって心優しき青年が銃弾を撃ち込まれるまでに至ってしまったのを描くの最高ですし、あの甘美な自転車シーンは萌える!このシークエンスを見せてくれただけで『ハウス・オブ・グッチ』には価値がある!と断言できるのです。リドリー・スコットありがとうございます。そして、その画面設計には“赤”が入れられているし、銃弾を撃ち込まれるシークエンスもドラマチックではなく卑小な蹲りによるリアリズムも完璧だ。大きな身体が小さくなる。良すぎる。『ハウス・オブ・グッチ』もう上映終わってしまっているだろうけれど、まだやっているところがあって、まだあなたが目撃していないのであれば観るべき映画です。面白い。観るべき映画としては、今GYAO!で『死の棘』の映画が観れますので、これも観ておくと良いと思う。

夫の不倫によって、精神の安定と不安定を反復横跳びする夫婦、その家族を描いたもので、「くそう、死んでやる」「ダメだお前を死なせるもんか、私の方が先に死ぬんだ」「なあに、ダメだ、俺が死ぬんだ」ということの繰り返しがめっちゃ面白い。鳥尾敏雄の原作の良い延長もされているし、窮屈な部屋を意識させ、人間が画面に侵入してくる計算されたタイミングと設計は美しい。その過剰さに笑ってしまうところもあるのだけれど、松坂慶子岸部一徳の語り口がその過剰さに見事にマッチしているので悲劇として成り立っている。傑作。私はこれを2年に1回くらいは必ず観返してしまう。f:id:You1999:20220227150806j:imageそうしたら、金曜日『ラヴィット』で川島が“岸部一徳ポイズンボケ”をかましてました!最高!

川島「(りんたろー。みたいな)料理できる男子はどうですか?
河田「めちゃめちゃ素敵だと思います」
りんたろー。「え、いっとく?」
川島「きしべですか?」
スタジオ「………?」
くっきー!「岸部一徳か笑」
川島「ポイズンボケですね、あとからくるポイズンボケです」
たけるショーゴは1秒で気づいたらしいんですけど、声が小さかったから届かなかった…笑」
ショーゴ「気づきましたー!」

『死の棘』も刺さった棘がじわじわくるポイズン。「きしべですか」めちゃ笑いました。『ラヴィット』屋敷が345万の腕時計を買ったりしてましたね。むちゃくちゃな番組だ。『有吉ぃぃeeeee!~そうだ!今からお前んチでゲームしない?』-緊急開催「FIFA22」有吉ジャパン新戦力トライアウト-を観て、寝る。小宮が中田英寿を彷彿とさせるラストパス、ドリブルなどして活躍していた。が、ネガティブな文句もたくさん言うなど。こういう選手いるよなあ。うんざり。小学生の時、試合後にピーチクパーチクうるさい奴がコーチに怒鳴りつけられていた。

金原ひとみ『パリの砂漠、東京の蜃気楼』

を読んでいる。自由だがテロなどが時折発生する不安定なパリと落ち着いているがじっとりとした嫌な閉塞感が空気を支配する東京という二つの街で過ごした金原ひとみのエッセイ。とてもいい。好きな箇所は、家族でパリから東京に帰ってくると、夫はそのまま修行に行ってしまったので、部屋には長女と次女と、私だけということになり、そこで各々がバラバラに過ごしているシーン。

認識のグラデーション、とか、氣について、とか、ポストヒューマニズムについて、などの話をし、掃除の大切さを説いたり何か心身の不調を漏らせば水を浴びろと勧めたりする、この家に於ける唯一の雑音的存在である男性がいなくなった家では箍が外れたように、次女がYouTubeのTWICEの動画をテレビで流し、長女がYouTubeをチラ見しながらスマホでゲームをやり、私はパソコンで「孤独のグルメ」を流しながらクラッシュ・ロワイヤルの対戦とポケモンGOを繰り返すという知性の欠片もない夕食後のひと時が流れた。p154

なんてことない普通の生活のはずなのになんだかカオスな空間に思えてしまうのが面白い。生活には知性の欠片もないのだ。ここ付近のページではTWICE、ポケモンGOなどが多く出てくる。あと、ぼんやりと頁を眺めると多く出てくるように見える言葉は鬱と牡蠣。生きるのは大変だ。この本を読んでいると江國香織冷静と情熱のあいだ』を思い出す。

私は江國香織の本だとこれが1番好き。外国で暮らすと私もこんな感じになりそうだなあ、とよく思ったものです。孤独。グレイス・ペイリーの短編集『最後の瞬間のすごく大きな変化』

も読んでいる。村上春樹 訳なのでほとんど村上春樹の小説を読んでいるような気になる。読みやすい。しかし、グレイス・ペイリーはじめて読んだのですが、めちゃ良いですね。「必要な物」から始まり、「負債」「重荷を背負った男」などといった漠然とした焦燥感に「道のり」「生きること」移民の話」「長距離ランナー」というゆっくりとでも前進していくランニングが短編集を貫く。その間にはもちろん「政治」などが挿入されるわけである。ロバート・ゼメキスフォレスト・ガンプ』のよつな質感がある。目が滑るようになってきたので、チャップリン『ライムライト』

を観ることにする。北京オリンピックフィギュアスケートブルガリアのフェイギンがこの映画『ライムライト』の音楽で滑っていたのです。なんとなくテレビでぼーっと観ていたらフェイギンに見惚れてしまいました。背が高く細くて軸がありカッコよかった。フェイギン素敵。4回転を飛びまくるトゥルソワの強キャラ感も好きでした。

水曜日。マリノス、vsフロンターレ戦。4-2勝ち。仲川が19シーズンの感覚を取り戻しているようでとても嬉しいし、エウベル、アンデルソン・ロペスというWGがいることも頼もしい。それと、この試合を見ていて思ったのだけれど、やっぱマルコスってめちゃ上手いのだな。4シーズン目がんばれ。フロンターレが最適解をまだ掴みかねている序盤で叩けたのは大きいし、逆転からの4点だもんな。マリノスの今季のユニフォームは襟付きで好き。やっぱユニフォームって襟ついているのが良いですね。今季のユニフォームだと、浦和のユニもカッコいいと思う。『朝井リョウ加藤千恵オールナイトニッポン0』でカトチエが「最近ハマっている成城石井の商品は…」と言ったところで“正常位”と聴き間違えた朝井リョウがビックリしたことでお馴染みのモーモーチャーチャーを久しぶりに食べた。成城石井で正常位。この前『ラヴィット』で麒麟・川島も療養中にハマったということでおすすめしていた。おいしいですよね、モーモーチャーチャー。ついでにパソコンに録音してある『akann0』第15回を聴く。成城石井or正常位モーモーチャーチャーと壊れたiPhoneを水につけたら治ったという奇跡の子の話。モーニング娘。『Say Yeah! -もっとミラクルナイト-』

が選曲されていた。「これほど表計算が発育したコンピューターでも 女の子のニュアンスは割り出せない!」ここがミソらしい。

木曜日。朝起きたら戦争が始まっていた。ロシア軍がウクライナ侵攻とのこと。1月末、電車に乗っている間はスマートフォンなど触るのだろうからとモスクワ地下鉄がロシア古典文学の無料ダウンロードサービスを開始した、とのニュースを見たことを思い出した。駅のホームなどに貼り出されているQRコードを読み取れば、チェーホフなどの古典作品が読み放題!ということらしい。とても豊かな文化だと思った。素敵なことだなと思った。しかし、2月末、その国のトップは戦車をウクライナに向けて動かすことを決断したらしい。彼は本など読まない、まったく野蛮で愚かな人間かというとそうではなく、古典にしっかりと軸を持った教養のある人であるようだ。偏りはあれど貧弱でないしっかりとした思想を彼なりの思考過程の中で醸成しているようである。日本の社会とかもそうだし国連とか世界のムード的にも結局のところ最悪を避けるための決断を誰もが誰かに任せてきたところはあるのだろう。私はあまりに不勉強で思想の強さがない。なので、邪悪なものにも簡単に良くない啓蒙されてしまうと思う。平和が大切だというのはもちろんだけど、それが各々の軍備による抑止なのか、平和主義的な祈りなのかわからない。私は何もわかっていない。とにかく、攻撃する側もされる側も人間であることを念頭に置かなければいけないとは思う。本当に何もわかっていない。まず、シュミットをちゃんと読むことから始めようと思っている(ロシアのを読んだほうが良いのかもしれないけれど、まずここからがいい気がする)。モスクワ地下鉄に貼られているQRコードで本を読んでいる人はいるのだろうか。レイ・ブラッドベリ華氏451度』みたいに本が焼却されたりしているのだろうか。日本ではどれくらいの人が本を読んでいるのだろう。本は多くの人に読まれなければ、その解釈も少なくなっていく。たったひとつの解釈が大きくなればなるほど、何かのきっかけで良くないことになる。誰も死なないでほしい。良くないことが起こっている。わたしも本を読もう。

金曜日。シティのジンチェンコがInstagramで声明を出した。アタランタマリノフスキが「NO WAR IN UKRAINE」と書かれたアンダーウェアをカメラに向け立った。隣には元ユヴェントスのデミラルがいた。ユヴェントスはヴラホヴィッチがやってきたものの最近勝ちきれない試合をしている。怪我人も多い。大変だ。そろそろベルナルデスキが頑張り屋の側面ではなくテクニック面で躍動することを期待している。SpotifyYUKIのプレイリストを作った。YUKIの音楽を聴いていると元気になる。