昨日の今日

KINOUNOKYOU

お笑いとテレビと映画と本と音楽とサッカーと…

ここんとこ。「2021.2」


Frank Ocean - Godspeed

2月。最終週の始まりに花粉症がきた。くしゃみは疲れるし、ズビズビと鼻の具合を気にしながら生きなければならないことのなんとまあ面倒なことよ。目は今のところまだきていない。あまりにしんどいときは、目を瞑って、フランク・オーシャン『blond』を聴きながら、ソファーに全体重をあずけてグッタリするのがいい。ぐにゅ〜と沈み込んで英気を養うのであーる。フランク・オーシャンは目がキツイようですね。

読んだ本のこと。『花束みたいな恋をした』*1絹ちゃんに影響されてか、ミイラの本を読んだ。“ミイラはなぜ魅力的なのか”という、まさに!というタイトルに引き寄せられてしまった。気になる人は本書を読むといいかもしれない。序盤に

死は人間の死体に好き勝手なことをする。呼吸を妨げ、心臓を停止させ、目の輝きを奪ったその瞬間から、死はおびただしい残虐行為を働き始める。数時間もしないうちに、おもな筋肉がすべて硬直する。最初にまぶた、それから顎、首、肩へと広がり、やがて全身が死後硬直する。数日で腐敗が始まり、見なれた顔が悪夢のようなものに変わる。数週間もすると、肌が侵食され、組織が溶け、肉が蝕まれていき、やがて固い白骨だけになる。だが、こうした暴力行為を働きながらも、死は綿密に規則正しく仕事をし、あらかた決まった手順で損傷を与えていく。p56

というめちゃくちゃカッコいい文章が書かれていて、それでもう最高。「死はおびただしい残虐行為を働き始める」って、なんじゃそりゃやめてくり。

途方もない力で蹂躙してくる死というものが迫り来る未来と寄り添いながら生きるしかない人間にとって、形を残すミイラという存在は憧れそのものであって、なんだかミイラと考えると過去への視点で言及されることが多いけれども、ミイラを見るその本来の眼差しは未来へと貫かれているのだ。

将来のミイラ発見者がどう考えるにせよ、ばら色の頬をした老人たちが何千年ものあいだ夢もみず、邪魔もされずに眠りつづける可能性はごくわずかなようだ。ミイラは昔からずっと人間の心の根源的な深い部分に語りかけてきた。そして、われわれはどうしてもミイラをそのまま放っておくことはできない。われわれはミイラが大好きであり、恐ろしくもあり、彼らのようになりたいとと願い、そのような運命をも恐れている。しかし、ひとつだけ確かなことがある。それはミイラの強い魅力にはどうしても勝てないということだ。人類が永遠の時に憧れつづけるかぎり、われわれは肉体だけでも残そうとする人間の試みをきっとだいなしにしようとするだろう。p323

マルク・デュガン『透明性』でもそうだけど、ポストヒューマニズムとかに抗う、有限であるからこその人間としての美しさみたいなものは確かに理屈としてはわかるし、繋いでいくことの喜びのようなものも理解はできるんだけれど、でもやっぱり永遠の命とかには吸い寄せられてしまうよなあと思う。バチボコサイボーグ人間。

麦くんが読むことなくトランクに放ってしまった滝口悠生『茄子の輝き』も読んでみた。滝口悠生芥川賞受賞の『死んでいない者』*2しか読んだことがなかったので久々だったのだけれど、わりとすんなり読めた。「あのときそういえば…」「結局、これはこうなるんだけど…」というふうに現在の地点から、前後に話が揺れ動きながら思いを巡らせていくというのが、7つの話から構成されていて、何度も何度も同じ話を反復しながら本は進んでいく。それを私たちは未練と呼ぶのかもしれないのだけれども、いつかの“茄子の輝き”を思い返してしまうまでになるときには、それは未練とはまた違ったものとなるかもしれない、というような願望が詰まっていて、『花束みたいな恋をした』のムードがある。

茄子の輝き

茄子の輝き

 
本物の読書家

本物の読書家

  • 作者:乗代 雄介
  • 発売日: 2017/11/24
  • メディア: 単行本
 

坂元裕二関連でいくと乗代雄介『本物の読書家』も読んだ。そのなかに入ってる『未熟な同感者』いい。難しい実験的な文学引用のなかで、大学のゼミ生4人が描かれているんだけれど、飲み会の会話のなかで、あの有名な『カルテット』レモンのシーンが話題にあがる。こういう小説に出てくるほど、あのシーンはみんなが知ってるものになってるんだなあと感心。でも、ここまでくると、レモンのとか、「泣きながらごはん食べたことある人は、生きていけます」とか、「僕はみなさんのちゃんとしてない所が好きなんです」とかもろもろ、好きなシーンなんですよねーとは言いづらくもなってくるよな。最高の離婚の色鉛筆の話とかも良い言葉過ぎで、歳を取らないと口には出せない。そのほか読んだもの。弘中アナのインドの話はやっぱり好きでした。何度読んでもいい。でも、インドには行きたくない。絶対お腹痛くなってしまう気がするから。

初夜 (新潮クレスト・ブックス)

初夜 (新潮クレスト・ブックス)

 
弘中綾香の純度100%

弘中綾香の純度100%

  • 作者:弘中綾香
  • 発売日: 2021/02/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
ロベルトからの手紙 (文春文庫)

ロベルトからの手紙 (文春文庫)

 

漫画の新刊は『九龍ジェネリックロマンス』がとにかく素晴らしいのです。ずーっと焦らしていながら読者の興味を逃さないだけの物語の強度とキャラクターの造形がある。美しい。

シュガー 8

シュガー 8

 
RIN 4

RIN 4

 

新井英樹『シュガー』とその続編『RIN』ちょー面白くて一気に読んでしまった。これからたまに読み返していく漫画になりそうだ。石川凛という天才ボクサーが凡人(といってもチャンピオンなのだけれど)をボコボコにするというだけなんだけど、これぞ漫画である!という熱情で溢れている。しかし、終始、態度が舐めきったもので、「努力が通用するボクシングなんかしちゃ おしまいでしょ〜〜〜」なんてことを平気で言ってしまうのである。そうであるから「石川!ボクシングなめんな〜〜〜」という観客の罵声もリングへと飛ばされるというめちゃくちゃで、だけどもボクシングシーンは努力が到達できない圧巻の連続を描き切ってありまして、もう閉口するしかないという。めちゃくちゃありえない話なんだけれど、あまりにリアリズムに満ちているという傑作だ。あと、凛と中尾さんの天才だけの会話とかも最高だし、中尾さんの顔はほんとに絶妙だと思う。天才の顔をぼんやりしたので書くっいうのは定石だけども、これはそのなかでも特に良い。『BLUE GIANT』はSUPREMEも駆け抜けましたので、EXPLORERへと向かいます!毎巻面白い!ずーっと面白い!石川凛と宮本大って全く違うのだけれど、どこか似てる!

サッカー本はこの2冊だ。ユベントス特集とリヴァプール特集。『SOCCER KING』の特集は実に充実していた。YouTubeユベントス特集動画と合わせて見ることでその奥行きはさらに増すのです。今シーズンをなかなか厳しい状況で過ごしているリヴァプールを不死鳥と鼓舞する『Number』の企画も良かった。中村憲剛岩政大樹の対談とかもあった。憲剛。引退して、瞬く間に解説者の席を確固たるものにしようとしているし、YouTube企画やテレビにも出まくってるしで、すごいな。うっちーは『ワイドナショー』とか出ないで欲しい。

SOCCER KING (サッカーキング) 2021年 03月号 [雑誌]
 

サッカーキングYouTube版。ユベントス特集。最高だったシーズンのフォーメーションとか、お気に入りのユニフォームデザインとか、とにかく楽しい。僕は14-15シーズン、アッレグリ1年目フォーメーション、ユニフォームデザインは17-18シーズンのやつが好きだなあと思う。ステップを刻みながらドリブルで魅せるポグバがいて、中盤の底で綺麗に捌きながらロングパスで美しい曲線を描くピルロがいて、ビダルリヒトシュタイナーマルキージオキエッリーニボヌッチバルザーリとか、あー最高。ユニフォームは変なデザインなしで、シンプルに白黒の縦があるのがいい。シャドウとか擦れてるのとかいらない。来シーズンは良きデザインであることを願う。


【特別編】八塚さんのカルチョ愛炸裂! ユヴェントス・スペシャル

 

2月は水曜日の22時くらいに開催される折坂悠太インスタライブにたいへん楽しませてもらった。楽器、アイテムをたくさん使っていくつもの音を重ねていき、心臓に響かせる音像を作っていくんだけど、イヤホンで聴くとこれは本当にすごいものになる。ぐわんぐわん脳を揺らすのだ。もちろん歌声も聴かせてくれるしで、最高のライブ。興奮そのまんまにアルバムを聴くという、水曜日は贅沢な夜を過ごさせていただいておりました。折坂悠太のまったく素敵なヴォイスにうっとりしてしまう。『監察医 朝顔』ももうすぐ終わってしまいますね。2月は頑張って14話と15話だけエントリーを書いた。1週間の内に書くのはなかなか難しいので大変。『麒麟がくる』は堂々の完結。素晴らしいエンターテイメントをありがとう。長谷川博己は渋くカッコ良すぎであったし、染谷将太との愛憎入り交じる視線の応酬にはドキドキしました。十兵衛さいこう。サウンドトラックを手がけたジョン・グラムさん。海外の作曲家が音楽を担当したのは、2003年に市川海老蔵主演で放送された「武蔵 MUSASHI」以来であったそうな。2014年には『東京喰種トーキョーグール』の編曲を担当したりとなんだか調べてみるとすごく面白そうな人だ。『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』『ナイト ミュージアム2』など映画の予告編音楽も担当してるそうで、予告編音楽、そうか、そういうのもあるのかと思ったりしました。

平成

平成

  • アーティスト:折坂悠太
  • 発売日: 2018/10/03
  • メディア: CD
 
Who Am I?

Who Am I?

 
green diary [初回限定盤] [CD + Blu-ray]

green diary [初回限定盤] [CD + Blu-ray]

  • アーティスト:中島愛
  • 発売日: 2021/02/03
  • メディア: CD
 
やさしい気持ち

やさしい気持ち

  • 発売日: 2021/02/10
  • メディア: MP3 ダウンロード
 
Complication

Complication

  • 発売日: 2021/02/24
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

世相とかその他いろんなことを考慮して、OKAMOTO'S ホールツアー『90'S TOKYO BOYS IN HALL ~爆笑ストイックライヴ~』は見送ってしまった。残念。肉眼で目撃したかった…。その代わりとはなんだけれど、『J-WAVE HOLIDAY SPECIAL au Smart Pass presents EXPERIENCE THE FUTURE』でオンエアされた新宿レッドクロスからのOKAMOTO'Sライブの映像を観ました。1発目の『Beek』最高でしたし、私は『Dance To Moonlight』めちゃ好きかもしれない。レイジちゃんとダイエットに成功し、カッコよく元に戻っている。良い。

何を聴くか悩むときは“おまごる”を聴いちゃう。2021年はおまごると共に歩んでいきたい。

映画のこと。西川美和『すばらしき世界』とか観た。Netflix成瀬巳喜男がやってくるらしいので久しぶりに観れるの楽しみ。『わたしの叔父さん』を観たいのだけども、上映館があまりに少ないのどうにかならないものか。Netflix『ペンギンが教えてくれたこと』を観て、グリフィン・マーレイ・ジョンストンの可愛さに癒される。chelmicoレイチェルにちょっとだけ似てる気がするのだけど、どうでしょう。これからはアジー・ロバートソンとグリフィン・マーレイ・ジョンストンに注目していきたい。煙草とか薬とかでボロボロになったりしないといいなあ。バカリズム『殺意の道程』もやっと観た。WOWOWだったから観れなかったのだ*3。真剣に何かをずーっと考えたり、計画している人を見ているとなんだか笑えてくるというのをとにかく愚直にやっている。バカリズムって感じだった。ふかわりょうがブログで綴っていたバカリズムとの昔の話が良かった。『恋とマシンガン』を歌っているバカリズムふかわりょうのシーンは、有村架純菅田将暉が『クロノスタシス』を歌っているシーンの500倍素晴らしいシークエンスになりそうと思う。頭のなかではもう最高なものになっているだけど、実際にやってもらうと大したものじゃなさそう。バナナマンバカリズムがやっぱりいいかな。『そんなバカなマン』復活してくれないだろうか。『人生のパイセンTV』でもいい。

ameblo.jp

世の中と足並みがそろわない

世の中と足並みがそろわない

 

ふかわりょうの新刊『世の中と足踏みがそろわない』読みたい。余計なものを排したスッキリした装丁も好感だし、“世の中と足並みがそろわない”というタイトルめちゃいいな、と思う。

『それSnow Manにやらせて下さい』地上波レギュラー決定の報せを知り嬉しくなる。『噂の!東京マガジン』からお昼を引き継ぐ形であるらしい。すごい抜擢!ぜひとも、テレビで人狼を見せてほしいなあと思う。最初に瞬殺される佐久間大介が観たいのだ。あとは普通に体育測定とか、料理対決とかも見たい。4月放送『ガンバラナー』でニューヨークと共演も楽しみ。

 


空気階段「定時制高校」

空気階段『anna 』のエモが詰まったライブを配信で観た。こういうのを売れてる状態で出来てるのって本当にすごいんだろうなあ。カリカ、犬の心がお金にならない青春として公演していたのが、これだけ多くの人に届いているのは、ちゃんとコントを繋いでくれていた人がいたからなんだよなぁと思った。しかし、ちょいエモい過多でしたので、しんどいとこもありました。そろそろかが屋コント見たい。もう一年以上経つだろうか。賀屋さんは、“かが屋”を守るって感じでいるのかと思いきや、ひとりでも『R-1グランプリ2021』決勝に行ってしまうのは凄まじいな。スーパーマンだ。最強芸人だ。SHIMASAとは違うな。ゆりやんも決勝進出してるんだけど、またカツオは見られるだろうか(まあ、やらないだろうけど)。ゆりやんがストレートにぶちかますの楽しみに期待している。『THE W』で戦ったAマッソのチャンネルに出演していたのも面白かった。加納さんが『文學界』で書いた短編読みたい。又吉、若林、DJ松永、加納、と文學界は芸人を贔屓にしているな。


【ゆりやん】『Aマッソは大きな間違いをしているよ』【Aマッソ】

ポケモンのこと。ダイヤモンド・パールのリメイク発表。ブリリアントとシャイニング。うわーやりたいという気持ちで胸がいっぱいになる。前はダイヤモンドでナエトルを選んだから、今度はパールでヒコザルにしようか。


【公式】『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』初公開映像

2月はこんなとこでしょうか。もっといろんなことがあった気がするけど、もう力尽きる。思い出せないし、疲れてしまった。今はサニーデイ・サービス『イン・ザ・サン・アゲイン』聴いている。

 

 <関連エントリー

you18892.hatenablog.com

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*1:はてなブログ公式のエントリーで私の書いたものが取り上げられたようで、ちょっぴりアクセス数が増えて嬉しかった。アクセス数とかどーでもいいとは思ってるけれど、やっぱり嬉しいものです

*2:このとき、芥川賞のもう一人が本谷有希子異類婚姻譚』で、直木賞が青山文平『つまをめとらば』でなんか全部よかったな〜というのを覚えている

*3:CLを観るには契約しないとダメなのだろうか、それはしんどいよなあ