2019年のM-1グランプリが終わった。毎年の楽しみにしているこの大会だが、今年は一段と胸を高鳴らせていた。なぜならニューヨークがついに決勝進出を果たしたからである。ネクストブレイクと推されながらもなかなか売れないことを揶揄され、自身でも、どうしたら売れるのかと悩みながら、偏見で毒のあるスタイルを続けての決勝である。
結果は「616点」で10位の最下位。しかし、トップバッターでこの点数は素晴らしくないか。
ニューヨークが決勝で選んだネタは「ラブソング」
まるで、これまでの全てからサンプリングして作られたようなこの漫才を、もういっそのこと、僕らファンへ向けられているものと解釈してしまおう。今まで応援していたファンへの「ラブソング」だ。*1
(嶋佐)お前に報告遅れてたことがあって、この度めでたく生まれました…曲が!
(屋敷)曲かいっ!
コント「曲作り」*2のような軽さがある。「曲作り」では、金が無くなってきたから、そろそろニューシングルを出すか!と曲を作り始める。松本人志が笑いながらツッコミするのはあんまり好きではないと言っていたが、友達が作ってきたダサい曲を聴きながら、ヘラヘラと笑うのがニューヨークの内輪だ。友達が作ったダサい曲を聴いてブチ切れたりせず、一緒になって笑うのである。とてもいじわるな笑いだ。
(屋敷)もう1人でてくんの?
1人だと思っていたら、もう1人でてくることに驚く屋敷は、不倫現場に遭遇してしまった様子をシミュレーションする漫才*3でのそれのようだ。嶋佐の自然な演技にさらに笑ってしまう。正拳突きはコント「ヤンキー」で嶋佐が戦う姿が思い出される。
(屋敷)女子は「LINEが既読にならない」とかに大喜びするから
(屋敷)女子は異常なくらい一途な歌詞好きやから。
「100万回愛してる」とか「100万回抱きしめたい」とか、とりあえず「100万回」ゆーといたらえーから
(屋敷)加藤ミリヤみたいな女出てきた!
屋敷のツッコミからニューヨークのオールナイトニッポン0での「うんこ西野カナかっ!」「加藤ミリヤか!」のコーナーやSonar Pocketなどの様々なエピソードトーク*4が思い出されるのも、ニューヨークがこのスタイルを維持してきたことと繋がり、とても嬉しいではないか。感動してしまう。
(嶋佐)ラ〜ブソ〜ングを君に〜お〜くるよ
(屋敷)おい!パプリカの子どもみたいなん出てきた!
嶋佐の器用なところがとても面白い。子どもを呼んで踊り出す嶋佐の張り付いたような笑顔が恐ろしいほどに自然なのだ。コント「フラッシュモブ」のように、ただ踊っているだけなのに、このおかしさはなんなのだろうか。そのあとM-1という大舞台で米津玄師を憑依させて踊らせてしまう*5のも、今年、ニューヨークYouTubeチャンネルで米津玄師ゲームをやったり、漫才「米津玄師」をつくってしまったりと、2019年にニューヨークが決勝に行ったことへの証のようではないか。
結果はどうであれ、ネタあとの審査員との絡みでも爪痕を残したニューヨークは確かに2019年にM-1の決勝に行ったのだ。
でっかいMDMA*6に帰っていくニューヨークが、2020年のM-1へ向けて準備を進める姿を、僕らはニューヨークのYouTubeチャンネルで追いかけて行こう。*7
(嶋佐)YouTubeやってます!
(屋敷)(笑)
(嶋佐)笑うな!お前!
(屋敷)(正面を見つめる)
(嶋佐)二度と笑うな!貴様!
(松本)(爆笑)