昨日の今日

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『M-1グランプリ2020』-ニューヨーク-

f:id:You1999:20201221021122p:image上戸彩が笑神籤を引いて「あっ」と声を出す。今田耕司も「およよ」という顔をする。ええ、まさか今年もニューヨークがネタ順1番なの⁉︎とドキドキしてしまう。会場もざわざわし出して、待って、え、それはないよ…と動揺。

今田「じゃあそれでは彩ちゃん、1組目の発表をお願いします!」

上戸「1組目は、敗者復活組です!!」

胸を撫で下ろす。いやー、良かった。とりあえずはトップバッターではないのだ。1番、2番のインディアンスと東京ホテイソンの得点はなかなか渋め。むー、参ったぞ、これでニューヨークがきたらしんどいような気もするけど、爆発できるのならチャンスだなあ、「今年は爆発します!」と言っていたし、これは良いのではないか、と思っていたら、ババン!ニューヨーク!3番目!!急いでソファーからずり落ちて、テレビの近くに寄って座り込む。ニューヨークが『M-1グランプリ』に出るようになってからはこれがいいのだ。これまでだったら、「いやー、〇〇は後半の勢いがねー、去年だったらさー」みたいな変なことをつらつらと言ってしまう雑念みたいなものがあったかもだけれど、ニューヨークが出てるとハラハラ、ドキドキという気持ちだけで楽しめるのがいい。みんなもっと『M-1グランプリ』をまっすぐに楽しむために“推し”をつくるべきだ。

スタンドマイク前に早く着きすぎてしまうというちょっとしたミスはあったものの(全然ミスではないけれど)、M-1決勝2年目であるので、ダークにリベンジ。とても毒のこもった、ニューヨークらしいネタでの決勝進出である。モンシロチョウを殺して募金箱に突っ込むというところが変更されていたりと微妙にチューニングしたり*1はあったのだけれど、基本的にはそのままのネタを披露。めちゃ面白い。

矢作「まあ、でも好みでいったらやっぱニューヨークだねえ」

小木「やっぱ思いました。ニューヨークは」

矢作「ニューヨークがやっぱり裏の優勝ですねえ」

小木「まあ、そうね、個人的には」

矢作「表では優勝させられないけどね。コントはもうすごい面白いと、ただ漫才がクソつまんないと本人たちに注意してたわけよ。今年見て、ちゃんと俺たちがなんの文句も言えない最高に面白い漫才をやってくれたニューヨークありがとう!最高。ニューヨークのネタ最高だった」

〈CM〉

小木「良かったよニューヨーク。俺はほんとに1本目、マジで1番高得点」

矢作「いや、ほんとそうだよ」

小木「97点だな、いや、8かな」

矢作「あ、小木、きゅっぱち?」

小木「おれ、きゅっぱちだったと思う」

矢作「それがね…おれも、きゅっぱち」

小木「ははは笑、すげーじゃん」

TBSラジオ『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』2020/12/24

おぎやはぎもめちゃくちゃ褒めていて最高なのです。おぎやはぎは『THE MANZAI マスターズ2020』でポリティカル・コレクトネス、コンプライアンスを意識してもう何も言えなくなってしまうという漫才をやっていたのでニューヨークのこのネタを評価しているのは必然なのかもしれない。もう何も言えなくなってしまうおぎやはぎと共鳴しながらも、今回のニューヨークはどんどん言ってしまう、またはある社会ともう一方の社会との乖離への笑いというスタイル。わかってやっているのかどうかはわからないけれど、前年の指摘から屋敷は顔をこわばらせて“笑い”を封印していながらも存分に社会で遊んでいる。ネタ終わり。人志松本の点数が発表されてガッツポーズする屋敷が印象的だった。ほんとにスポーツなのだな。Twitterに「インターネットで言っちゃいけないことを全部言いながら、そう言う人も社会の構成員であるというところまで持っていくのが現代を象徴するネタ」で最高だった、というような感想があったのだけれど*2、なんでここにきてまで“傷つけない笑い”みたいなことを言い出すんだ…と拒否反応が出てしまった。もういいよ。でも、こういうときのニューヨークが眼差しているのはそっちじゃなくて(嶋佐の方ではなくて)、そういうことにハッキリと正当な意見をぶつけられない方にあるのであり(屋敷の方)、「そんなのダメ!」と言わないで「人前で言うな」に人柄が現れているところとかにニューヨークらしさがあるのだ。そうであるから、評価される人にはされるのだけれど、ダメなひとはほんとにダメになってしまうという微妙なライン*3

クイック・ジャパン153

クイック・ジャパン153

 

今月発売の『クイック・ジャパン - QuickJapan153』のニューヨーク特集に

ちょっと性格の悪いツッコミをするヤツなんてマジでいらないっすからね、普通の社会で。

という屋敷の言及があるんだけれど、ここにこそニューヨークが眼差しているものはあると思う。とりあえずニューヨークをこの感じで毎年『M-1グランプリ』で見れるようになるといいなあと願っています…。敗退が決まったシーンで「バスケがしたいです…」と宮城リョータ(嶋佐)が言うところで最高に笑いました*4


ニューヨーク【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順3〉M-1グランプリ2020

*1:ウンコを食うってのはどうなんだ

*2:そういう方に持っていきたいのもわかるのだけれど、わたしもよくやってしまうのでむず痒い…

*3:最初の導入で上手いことやってはいるんだけれど

*4:三井寿ではなく