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日本逆転オッケーです!

f:id:nayo422:20221124022323j:imageW杯日本初戦。ニューヨークと武尊くん×サッカーという理想的な組み合わせのW杯応援番組が放送されていたのだけれど、さすがにこれを副音声にして試合を観ることはできないなあと思って、2-1という劇的逆転勝利に歓喜したあとで、ゆっくり観ました。武尊くんとまた番組やらないかなあと常々熱望していたのがまさかサッカー番組で実現するとは…Abemaショーゴの座組が復活してくれるの本当に嬉しかった。W杯全試合生放送してくれるし、Abemaショーゴメンバーも集めてくれるし、最高ですね。西澤アナもいましたね。嶋佐がハーフタイムに出した「#日本逆転オッケーです」もトレンド入りしていたし、ちゃんと現実になりましたね。すごい。

さて、W杯初戦はvsドイツ。なんとなく私の頭の整理としてまとめておこうかなあと思います。日本の4バックの中間ポジションやボランチとのライン間など嫌なところにミュラーやムシアラが顔を出してくる。5レーンを埋めてくるドイツに対して日本のマークの受け渡しや誰がついていくのかと混乱が起こってしまうのだけれど、そんな前半をなんとか0-1で凌ぎ切る。ミスマッチが起こり、どうにも相手を捕まえきれないということで、後半からは久保を冨安に変えて5バックに。しっかりと目の前の相手をまずは捕まえようとマンツー気味にして、伊東を下がらせないで前に置き、大然、鎌田と3枚でプレスをかけていく。右利きの冨安があの位置で左足で持てる!という強みを活かして、日本のボール循環も改善されていく。

しかし、ドイツが優勢であることは変わらない。日本のハイプレスを掻い潜り、ボランチ脇でボールを受け前を向くムシアラやミュラー、そして、その落とし受けるギュンドアン。森保監督は長友に代えて、左のウイングバックに三笘を、前線の大然を浅野に代える。しかし、その選手交代わずか3分後の60分にはギュンドアンがポストを直撃するシュートを放つ。ここで、このシュートが決まっていたら、この試合は終わっていたかもしれない。が、スコアはまだ0-1のまま。

だんだんと積極的に前がかりになってくる日本に対して、ドイツは疲労を考慮してかミュラーギュンドアンを交代させてホフマン、ゴレツカがピッチに入る。どうやらミュラーには腰痛があったようで、ギュンドアンもコンディションが万全というわけではなかったようだった。冬開催のW杯カタール。準備期間があまりにも短いこの大会で、チーム状況の全容が掴めていなかったのだけれど、日本が怪我人を多く抱えるなか、ドイツにもまたその苦しい台所事情があることが露呈し始める。ここでドイツはボール運びの潤滑油を、歯車を失うこととなる。

70分には18秒間で権田の4つの神セーブというスーパープレーが飛び出すことで、望みを繋いでいく。0-1というドイツが勝っている状況であるのに、何かドイツには焦りがよぎり、日本は何か確信めいたものを持ち始める。フラットに応援しに来ていたサポーターも日本の声援に加わり始め、スタジアムの空気が日本を後押しする。両チームの脳裏には、前日サウジアラビアvsアルゼンチンの2-1ジャイアントキリング逆転劇があったのかもしれない。日本は田中碧に代わって、堂安を投入。

権田の4連神セーブのおよそ3分後、73分、ズーレとリュディガーの中間ポジションで伊東がボールを受けシュートを放つが、ノイアーにセーブされる。右CBズーレは自分より内側にいる伊東をなんとなく確認しておきながらもボールウォーチャーになってしまい、マークを掴みきれないでいた。外側に三苫が幅を取っていて、それも気になった部分もあるのかもしれないのだけれど、とにかくこのワンシーンによって、ズーレがボールを見てしまう選手であり、守備の統率からは外れてしまっていることが誰の目にも明確になる。「ズーレが穴なんだよ。ここをもっとつけ」と解説・本田圭佑が言及する。

酒井宏樹に代わって、南野が投入される。ここで森保監督は5枚の交代枠を使い切る。右サイドのウイングバックには伊東が入り、日本は最も攻撃的な陣形を整えるようになる。守備のときは5-4-1でブロックを敷き、攻撃時には3-4-3のような形で、攻守の4局面をわかりやすくオーガナイズする。飛び出す名采配(果たしてこれがどれだけのコンセプトに基づいて、そのプロセスを描いていたのか)。

3バックになったこと、そして、冨安があの位置で左足で持てることで、冨安から高い位置をとった三笘への斜めのコースが生まれ、三笘が前向きでボールを受ける。彼らしい中へスルスルと入っていくドリブルからズーレの裏のスペースを抜けた南野へ縦パスを通す。その南野が強引にシュートを放ち、ノイアーは弾くのが精一杯、そのこぼれを堂安が押し込むことで見事に同点弾を決めてみせる。“もっている男”としての風格を漂わせながらのゴールパフォーマンスに思わず笑ってしまった。流石だ。やべー。持ってる男すげー。

“勝たなければいけない”ドイツはムシアラとハヴァーツに代えて、ゲッツェとフュルクンクを投入。しかし、構造を整理するわけでなく、単なるフレッシュさを求めての交代であって、後半の序盤までに勝負を決めきれなかったドイツ監督・フリックに打つ手は無いようだった。ハヴァーツはチェルシーでの調子の上がらなさを引きずってきてしまった感じだったろうか。本来の彼であれば、高さもあるし、足元の技術もあるし、裏抜けもできるし、となんでもできるマンである。

まだ始まったばかりのカタールW杯において、途中出場ばかりのドイツ中盤には新入りが多くなってくる。そこで、およそ80分をこのスタジアムで過ごした遠藤航が先輩として幅を利かせ始めるのだ。ボールを奪取し保持し、ファールをもらう。遠藤航がこの中盤の玉座に座ることになった。そして、2点目は遠藤航がもらったフリーキックから生まれる。

73分、伊東がシュートを放った時に、ボールウォッチャーとなり漠然と守備をしていたズーレの伏線がここで繋がる。83分、板倉が大きく蹴ったロングボール。中空を優雅に駆けるボールを眺めながら、ズーレがぼんやりと後退りし、デフェンスラインを下げてしまう(もしくは全体で思い切って下げるべきだったのかもしれない)。デフェンスラインよりもボールを見てしまったのだ。リュディガーが手を挙げオフサイドを要求するが、それは意味を為さない。ピッタリと良い位置にボールを収め、シュロッターベックの前に入り、ノイアーの頭の横、ここしかない!というところを打ち抜く素晴らしいゴール。

日本がドイツに、それもW杯の舞台で初めて勝利した。ボール支配率はドイツ74%で日本26%、シュートも26本:12本で倍以上打たれている。本当にいろんな奇跡が重なったのだと思う。前半の終わりに相手のオフサイドで助かったり、ミュラーギュンドアンがベンチに下がったり、権田のスーパーセーブが出たり、ギュンドアンのシュートがポストを直撃したり、ズーレのラインがずーれまくりだったり…試合後インタビューでは、三笘の冷静なコメントが印象的だった。

ー逆転したこの力、どう感じますか?

三笘「まあ、ほとんど逆転したことないですけど、ここで出るっていうのは運もあると思いますし、チームとして我慢強く闘って、オフサイドもありましたし、まあ…ついてたんじゃないかなと思います」

なんだか本当に冷静すぎて怖いくらいだ。すごいですね。「運」「ついてた」という言葉を出してしまえるのは流石ですよね。

 

ドイツは試合前の集合写真撮影で、手を口元に当てるジェスチャーを行った。「腕章を否定することは、声を否定することと同じです」と。差別と多様性に抗議するために「ワンラブ(愛は一つ)」と書かれた腕章をつけるはずだったのだけれど、FIFAが制裁を科すと警告したために断念していた。ドイツ代表は口元を隠す集合写真をTwitterに共有して、抗議する立場を示したが、そのツイートのリプライには元ドイツ代表・エジルのことが書かれていた。彼がウイグル自治区のことに言及したとき、ドイツは彼のことを守らなかったじゃないか、と。彼はトルコ系移民にルーツがあり、そのことで連盟から不当な差別を受けた、と。ダブルスタンダードだ、と。

globe.asahi.com

エジル、そして、ドイツとトルコの関係についてはこの記事を読めば少しわかるかもしれない。口元を隠す抗議運動と共に、「エジル」という名前がドイツ国内では浮かび上がっているらしい。ドイツとトルコの関係については、ハンブルクからイスタンブールを旅するロードムービーファティ・アキン太陽に恋して

を観てみてもなんとなく掴める部分もあるかもしれない。普通に楽しい映画だし、おすすめです。11月には金井真紀『聞き 書き サッカーの民-スタジアムに転がる愛と差別と移民のはなし-』

も刊行されている。W杯始まって終わる頃にはこれを読み終えているみたいなのも良さそうですよね。

『パンプキンポテトフライのたっくんラジオ』を聴く。

stand.fm

たっくんもめちゃドイツ戦を楽しんだようです。『メガネびいき』では、小木さんがこじはるやアンガールズ田中と集まって応援した話をしていた。昨年のことは『アンガールズANN PODCAST

open.spotify.com

で少しだけ話されている。おぎやはぎといっしょにW杯観たいなあ。